3・「パパ」と呼ばれる日

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『じゃ,帰ってきたら,あんたも作るの手伝ってね。食材はもう,私が買ってきてあるから』 「はーい。お父さんもいつも通りに帰ってくるんだよね?」 『でしょうね。「遅くなる」って連絡は,今のところ来てないし』 父はそういう点,マメなのだ。帰りが遅くなりそうな時には必ず,母のケータイ(ちなみにガラケー)に電話かメールが入る。 「うん,分かった。じゃ,お父さんが帰るまでにハンバーグ作っちゃわないとね。あたしも急いで帰るから」 電話を切ると,美優は「ばあばが待ってるから,早く帰ろ」と春奈を促す。 「それにね,クマさん達もきっと,『ハルちゃんと遊びたい』って言ってるよー」 ママが声色(こわいろ)を変えて,「クマさん」っぽく言うと,春奈も大喜びした。 「クマさん?ハルたん,おうちにかえってクマさんたちとあそぶーっ」 テンション高くはしゃぐ我が子に,美優はうんうん,と頷いて目を細めた。 (この子は将来,絶対にいい子に育つわ) 片親の元で育ったにもかかわらず,この子は感受性豊かで,いつも母親や祖父母からの愛情を素直に受け入れてくれている。
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