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シャワーを浴びてさっぱりし,喉が渇いたので冷蔵庫から麦茶を出してリビングへ行くと……。
「あれ?お父さん,まだ起きてたの?お母さんは?」
父が一人,ソファーに座って缶ビールを傾けていた。柿ピーをお供にして。
「母さんは,二階の部屋にいるよ。何でも,ネット配信で見たいドラマがあるんだと」
「へえ。お父さん,いいもの飲んでんじゃんよ。グラス持ってくるから,あたしにもちょっとちょうだい」
湯上がりなら,麦茶よりビールでグイッとの方がいいかもしれない。
「お前,明日休みだからってな……。春奈に『ママ,おさけくさい~』って言われるぞ」
「コップ一杯飲んだくらいじゃ言われないって。大丈夫っ」
美優は呆れる父にそう言い返して,麦茶の五〇〇mlペットボトルをキッチンに戻しに行った。そして,グラスを持ってリビングに戻る。
彼女は手酌でビールをグラスに注ぎ,半分くらいを一気にグビグビ飲んだ。
「ぷはーっ,うまい!生き返ったあ!」
口の上にビールの泡でヒゲを作って唸る我が娘に,父が呆れてボヤく。
「お前はオヤジか」
「いいじゃん,別に。やぁっと堂々とお酒飲める歳になったんだからさあ」
二十歳である。現行の法律上,飲酒・喫煙が認められている年齢である。美優はタバコは吸わないが。
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