3・「パパ」と呼ばれる日

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「やっぱりな。お前,昨日の朝に『金欠だ』って言ってたろ?だから,おかしいなあとは思ってたんだよな」 「あー……。そういや,そんなこと言ったっけ」 父の言ったことは図星(ずぼし)だ。だから,両親のどちらかが不審(ふしん)がるだろうとは美優自身も思っていた。が,なんで今頃? ……という疑問はとりあえずおいといて,彼女は弁解を始めた。 「あたしだって,あの子にウソついたことには良心痛むんだよ?だからね,日曜日に彼の前で,春奈にホントのこと話すつもりでいるの」 「日曜日?春奈を相手の男に会わせるのか?いくら何でも早すぎないか?」 父が驚きの声を上げる。美優と同じく,展開の早さに戸惑っているようだ。 「あたしも,早いとは思う。けど,早い方がいいかなとも思ってる。彼が春奈に会いたがってるし,父親になってもらうには,まずあの子との距離を縮めてもらわないと」 美優は,先ほどの裕一との電話の内容を,父に話して聞かせた。 彼は春奈の声を聴きたがっていたが,春奈が熟睡(じゅくすい)していたのでそれは(かな)わず,それでも「起こすのは忍びない」と言って遠慮してくれた,と。 「彼の方は,日曜日にあの子に会うの,すごく楽しみにしてくれてるの」 「問題は,春奈の方か。春奈が相手を気に入ってくれないことにはな……」 「うん,そこなんだよねえ」 春奈は「父親」というものを知らない。だから,初めて会う大人の男性のことを,どう認識するのだろう?
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