3・「パパ」と呼ばれる日

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お目当てのパンダを始め,色々な動物を見て回った後,春奈がグッズショップの前で立ち止まった。 「ゆーいちおじさん,パンダちゃん!」 彼女が指さした(たな)を見ると,そこには可愛いパンダのぬいぐるみが並んでいる。裕一は春奈の言わんとすることを,こう解釈した。 「……コレは,『買って!』っていう意味でいいのかな?ママさん?」 彼は一応,美優に確かめる。けれど,困った顔をしていないところを見ると,彼自身は買ってあげるつもりでいるのかもしれない。 「あ……,ハイ。春奈っ,裕一おじさんにワガママ言っちゃダメだよっ!」 とはいえ,ここは母親として,我が子を甘やかすわけにはいかないので,美優は春奈をたしなめた。 「いや,いいよ。よし,裕一おじさんが買ってあげよう!春奈ちゃん,どれがいい?」 「わーい♪じゃあねえ,ピンクのおリボンしてるコがいいなー」 (いいのかなあ,コレで?) 美優はこっそり首を傾げる。
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