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彼がチョイスしてくれた料理は，どれも美味しかった。前菜もパスタも，ピッツァもデザートも。おかげで二人ともお腹一杯になり，食事の席もとても楽しめた。
裕一のクレジットカードで会計を済ませた二人は，駐車場に停めてあった彼の車に乗り込む。
「裕一さん，ごちそうさま。あたし，こんなにゆっくりお食事したの久しぶりかも。今日はありがと」
「いえいえ，どういたしまして。そういえば，いつもは春奈ちゃんが一緒で美優はゆっくり食べてられないもんね。母親って大変だよね」
裕一はよく見てくれている。母親の大変さもよく分かっている。
確かにシングルマザーは，恋愛するのも大変だ。子連れで食事に行った時には自分のことは二の次で，子供を優先しなければならない。
けれど，「大変だ」とは思っても，美優は恋愛するうえでも春奈のことを「ジャマだ」と思ったことは一度もない。そして，裕一も春奈のことを決して邪見に扱ったことはない。
「うん……。正直大変だけど，楽しいよ。裕一さんだって，春奈のこと可愛がってくれてるし。すごくありがたいよ」
「僕は君のことも，春奈ちゃんのことも，どっちも同じくらい大事だと思ってるからね。……でも，たまにはこういうのもいいかもなあ」
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