4・初めての一夜……

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――二〇分後。二人の乗った車は六本木の高層ビル群の一画で停まった。 この区画から少し先に行くと,キャバ嬢や高級クラブのホステスさん達が夜のお勤めをする歓楽(かんらく)街である。 「美優,着いたよ。ここが,僕の住んでるマンション」 「わあ……,スゴいマンションだね」 そこは地上三〇階はゆうに超えているであろう超高層のタワーマンション。高層階なら,賃貸でも家賃は十万円を越しているだろう。 「僕の部屋は二〇階だよ。さすがに1(ワン)フロアー貸し切りじゃないけど」 「えっ,賃貸なのココ?家賃結構かかるんじゃない?」 数多くベストセラーを出していても,さすがに超高層分譲(ぶんじょう)マンションには住めないか。 というか,リアクションが庶民的すぎて情けない美優だった。 「家賃は……月(ふた)ケタかな。でも,作家の収入だけじゃ生活やってけないから,講演やったりコメンテーターの仕事をやったり」 「はぁー……,大変なんだね」
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