4・初めての一夜……

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『ええ,大丈夫よ。――どうしたの?』 「あ……,うん。お母さん,春奈はいまどうしてる?」 もう寝てるのかな?――美優はそう思った。電話口には,春奈の声は聞こえてこない。 『春奈ちゃんなら今,お父さんとお風呂に入ってるわ。私は今,リビングでTV観ながら,春奈ちゃんが上がるのを待ってるところ』 「そっか……。どう?あの子,あたしがいなくてグズったり泣いたりしてない?」 訊けば余計に気になってしまうのに,どうしても母親の(さが)で娘の様子ばかり訊いてしまう。 子供を家に残しての恋人との外泊――。母親としてはやっぱり後ろめたいのだろうか。 『大丈夫よ,美優!お父さんもお母さんもついてるんだから,あんたは安心して裕一さんに愛してもらいなさい』 「お母さん……」 あまりのものの言いように,美優は呆れるばかり。父といい母といい,他に言いようはなかったのだろうか? とはいえ,「安心して」と言ってくれたのは嬉しかったので。 「……うん,ありがとね。じゃ,明日の朝は春奈のことお願い,ってお父さんに言っといて。おやすみなさい」 終話すると,すぐにシャワーを終えた裕一が上半身(はだか)にスウェットパンツという姿で,頭からバスタオルを(かぶ)ってバスルームから出てきた。
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