二日

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二日

窓際に小さな鉢植えが置かれた。 数日ほど前、俺が種を眺めていたら、ババアが植木鉢と土を持ってきた。 「そんな大きいタネ初めて見たわ」とか言っていた。 コイツの名前は教えていない。知ったらきっと、捨てろとかきみわるいとか言いだすに決まっている。 俺のベッドからは窓の桜がよく見える。 それに、地味な茶色い鉢植えも。 そういえば、なんとなくこの2つを合わせるのは景観が削がれる気がしていた。 植木鉢をベッド脇へ移動させる。 『命を吸って育つ花さね』 いのち、いのち。 きゅうめいか。吸命花。 「う、」 今日は吐き気がひどい。 無いものをひとしきり吐いて、ふと顔を上げると植木鉢。 「ぐッ」 土の匂いの相乗効果で、更に嘔吐いた。 急に、素知らぬ顔で埋まっている種にムカッ腹が立った。 水も毎日あげているのに。 夜、オナニーした時精液をぶっかけてやった。
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