三日

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三日

目がさめると、一点の緑が視界に映った。 植木鉢から芽が出ている。 「本当に種だったのか」 顔を近づけると、ちゃんと生白い根が土の中に潜っている。 地面から出た部分は二つに分かれて、よれた紙みたいな不恰好な双葉がついていた。 ここで、疑問に思った。 なにが『いのち』なんだ? いのちを吸うってそもそも、どういう意味なんだろう。 魂的なものを、俺のそばに置いといたら吸ったということなのか。 それとも、俺の精液が栄養たっぷりだったのか。 あげた水が今になって効いてきたのか。 「まあいいか」 今夜もベッド脇に置いたまま、初々しい双葉に白い特製ジュレを添えてやった。
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