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あの世からの使者
ビルの屋上に立つ。
そう。俺は今、飛び降り自殺を試みている。
この世に未練なんて、もう……。
「失礼します」
と、そこに声がした。
振り返ると、真っ黒なスーツの男が立っているじゃないか。
「誰だ？」
「はい。私はあの世からの使者」
男は答えた。
「こりゃいいや。あの世の方から俺を迎えに来たってわけだ」
「ああ、そういうのは死神さんの管轄でして、私はあくまで使者として、最新の地獄情報をお届けに参りました」
「地獄情報？」
「はい。最新の地獄情報としましては、近年の高齢化社会と自殺者の増加により、三途の川がだいたい3年待ち。閻魔様への謁見がだいたい5年待ちとなっております」
「そんなにッ？」
「では、どうぞ。楽しい地獄の旅を」
「なんとかなりません？」
「ううん。ネット予約なら少し待ち時間が減りますよ」
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