十月 その2

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あの事件の後、すぐに養護施設に入れられた。 全焼だったから家は取り壊され、空き地になったと一年後に姉から聞かされた。 「お姉さんは元気?」 「姉は事件から二年後に死にました」 「ごめんなさい」 「気になさらないでください」 「それじゃ、今は拓ちゃん一人で生活しているの?」 「えぇ。一人気ままに毎日過ごしています。それで、おばさんに聞きたいことがあるんですが…」 「私が分かる範囲で答えてあげるわ」 「事件の日の夜、誰か見ませんでしたか?」 「どうだったかしら…」 「どんな小さいことでもいいんです。何か思い出せませんか?」 柳井のおばさんはうーんと唸って考え込んでしまった。 (十年以上の時が経っているんだし、無理か…) 諦めて帰ろうとした時、突然おばさんに腕を掴まれた。
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