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あの事件の後、すぐに養護施設に入れられた。
全焼だったから家は取り壊され、空き地になったと一年後に姉から聞かされた。
「お姉さんは元気?」
「姉は事件から二年後に死にました」
「ごめんなさい」
「気になさらないでください」
「それじゃ、今は拓ちゃん一人で生活しているの?」
「えぇ。一人気ままに毎日過ごしています。それで、おばさんに聞きたいことがあるんですが…」
「私が分かる範囲で答えてあげるわ」
「事件の日の夜、誰か見ませんでしたか?」
「どうだったかしら…」
「どんな小さいことでもいいんです。何か思い出せませんか?」
柳井のおばさんはうーんと唸って考え込んでしまった。
(十年以上の時が経っているんだし、無理か…)
諦めて帰ろうとした時、突然おばさんに腕を掴まれた。
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