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重い足取りで帰ろうとしていると、給湯室から声が聞こえてきた。
おしゃべり大好きな女子社員の声だった。
「大月さん、今日いっぱいなんだって」
「へぇ、あんなに会社に尽くしてきてたのにね」
「それが今の世の中だもん。後任って誰なの?」
「知らない。ってか、課長が大事な仕事は大月には回すなって言ってたから大した仕事任されていないんじゃない?」
「うわぁ…マジか…」
「うん。課長直々に言われたから」
「そんなん言われたら私だったらショックだわ」
「だよねぇ」
彼女たちに気付かれないように、そっとその場を後にする。
彼女たちは何も悪くない。
課長も悪くない。これが世の中なんだ。
仕方ない。
そんな風に割り切れる程、なぜか心中穏やかだった。
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