十二月

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しかし、物理的な距離は問題にならない。 綾乃の後ろ姿を見送って、俺も急いで家に戻る。 部屋に着いて、靴を脱ぎ、居間のちゃぶ台の上にある盗聴器を聞くためのヘッドホンをする。 思った以上に感度良好だった。 「大翔、陽葵。もうあのお兄ちゃんとは会っちゃ駄目よ」 「「どうして?」」 「どうしてもっ!危ないから言ってるの」 「お兄ちゃん危なくないよ?ラジコンカーくれたもん」 「そうだよ。ぬいぐるみくれた」 「いいから言うこと聞きなさいっ!」 綾乃の発言は想定範囲内だった。 自分の痛い所を突かれたのだ。 これ以上接触したくないはず。 だが、そうはいかない。 両親と姉の仇を取らせてもらうまでは。
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