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しかし、物理的な距離は問題にならない。
綾乃の後ろ姿を見送って、俺も急いで家に戻る。
部屋に着いて、靴を脱ぎ、居間のちゃぶ台の上にある盗聴器を聞くためのヘッドホンをする。
思った以上に感度良好だった。
「大翔、陽葵。もうあのお兄ちゃんとは会っちゃ駄目よ」
「「どうして?」」
「どうしてもっ!危ないから言ってるの」
「お兄ちゃん危なくないよ?ラジコンカーくれたもん」
「そうだよ。ぬいぐるみくれた」
「いいから言うこと聞きなさいっ!」
綾乃の発言は想定範囲内だった。
自分の痛い所を突かれたのだ。
これ以上接触したくないはず。
だが、そうはいかない。
両親と姉の仇を取らせてもらうまでは。
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