第三話 疑惑

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第三話 疑惑

 坂を上りきると右側の警察署がある通り沿いに、部隊の兵士たちが集合している姿が見えた。遠目から見て、5.60人はいるだろうか。達也は駆け足でその部隊に合流し、先程通信のあった不破 樹一佐の顔を探した。  すると通信士の背負った携帯型野外通信システム(FC net)にノートPCを接続し、それを地面に置いて片膝をつく重装兵が目に入った。ヘルメット越しなので、俯いていて顔が確認できない。  達也はその兵に恐る恐る近づき、目の前に立った。それに気づき重装兵が俯いた顔を達也に向けると、ボディーアーマーを着込んだ兵は立ち上がり、達也を見た。  ...大きい。年齢は30代後半と言ったところだろうか。身長169cmの達也が見上げるほどで、185cmはあるのではないか? ガッシリとしたバランスの良い引き締まった体格で、その表情は黙っているだけでも本物の軍人のように迫力があり、色は白く彫りの深い精悍な顔つきだ。目は大きいが釣り気味で、鷲や鷹などの猛禽類を思わせる鋭い目線が達也を射抜く。  これこそ達也が男の中の理想とまで憧れ、その消息を追い続けた男、俳優・不破 樹の堂々たる姿だった。  達也は映画だと言う事も忘れ、慌てて敬礼した。 「すっ、須藤達也三佐、只今到着致しました!これより第一小隊に合流します!!」  緊張して声が上ずってしまった。それを聞いてか、不破は口元を緩めてニヤリと笑い敬礼を返してきた。 「ご苦労、休め。まあそう固くなるな」 「ハッ!」  達也はミニミを地面に起き、腕を後ろに組んで休めの姿勢を取った。 「須藤三佐、分かっているとは思うが、俺が今回のレンジャー大隊総指揮を務める不破 樹一佐だ。以後俺のことは連隊長と呼ぶように。いいな?」 「了解しました、不破連隊長!」 「よろしい。そして俺の隣にいるこの通信士官が高部 勝(たかべまさる)二等陸尉だ。各小隊との連携の要となる。必ず死守するように」 「ハッ! よろしく、高部二尉」 「こちらこそよろしくお願いします、須藤三佐」  固く握手を交わしながら、達也は高部を見た。背が高くひょろっとした印象を受けるが、顔を見ると理知的で、とても温厚そうな人物だった。不破一佐や自分と同じく、グレーと黒のパターンで覆われた市街地戦用のデジタル迷彩服を着用している。そのやり取りを見て、不破一佐が言葉を継いだ。 「早速だが、君には隊長としてこの第一小隊を率いてもらう事になる。何か質問はあるかな?」 「ハッ!その...自分はこの世界での部隊運用を行うことは初めての経験でして、何分練度不足なため、ご面倒をおかけすることになるかも知れませんが...よろしいのでしょうか?」 「安心したまえ、そのための隊長補佐がいる。陸曹長!こちらへ」 「ハッ!」  達也の背後で雑談していた兵達の一人が、駆け足で不破の前にやってきた。 「お呼びでしょうか、連隊長」 「うむ。陸曹長、君は過去に二度、本ミッションに参加しているな?」 「仰る通りであります!」 「その経験者としての知恵を借りたい。ここにいる三佐の手足となり、彼をサポートしてやって欲しい。須藤三佐、紹介しよう。君の補佐を担当する黒田 晶陸曹長だ」 「了解しました、よろしくお願いします須藤三佐!!」 「...え? アキラ君...だよね?」  達也に向き直り凛々しく敬礼するその姿を見て、見違えるあまり最初は別人かとさえ思った。しかしその特徴的な釣り上がった大きな目に、線の細い顔立ち、薄い唇。口を真一文字に結んではいるが、映画館で見せたあのニタリ顔が今にも出てくるのではないかと、脳裏に甦っていた。  達也が不思議そうに顔を覗き込んでいると、アキラは真顔のまま、達也に向かって小さく右目をウィンクした。(良かった、やっぱりアキラ君だ)達也は心の中でそう安堵したが、それを他所に彼は言葉を継いできた。 「ここでは黒田とだけお呼びください、須藤三佐!」  …なるほど、徹底して軍人としてのロールプレイを貫きたいらしい。達也も若い頃...と言っても三年ほど前だが、FPSタイプのフルダイブ型VRMMOをプレイしていた際は、司令官に忠実な突撃兵を演じていたものだった。  達也の中ではある種の黒歴史でもあったが、過去の経験から気持ちは理解できた。ここはアキラの意思を尊重し、自分もそれに合わせてロールプレイの渦中に飛び込んでみようと気持ちを切り替え、アキラに敬礼を返した。 「失礼した、黒田陸曹長。よろしくお願いする」 「ハッ!」 「何だ、お前たちは顔見知りか?」  二人の不自然なやり取りを見て、不破連隊長が口を挟んできた。達也とアキラは不破に向き直る。 「ハッ。席が近かったこともあり、黒田曹長から色々と話を伺った仲であります」 「須藤三佐には、自分からお声がけしたであります!」 「よろしい。良いチームワークが築けそうだな、期待しているぞ二人共」 『ハッ!!』  二人が敬礼する背後で、集まっていた隊員達の様子が騒がしくなってきた。何事かと後ろを振り返ると、ある一人の隊員が皆に取り囲まれ、そこを中心に歓声が上がっていた。 「来たぁぁあああ!!」 「天使降臨!!」 「やった、真希さんと一緒のチームだ!」 「お久しぶりです真希さん!!」 「今回も頼んますよ真希さん!」 「はいはい任せてー!みんな久しぶりね」  まるでアイドル扱いのその隊員は皆に笑顔を振りまいていたが、やがて包囲が解けると小走りに不破連隊長の元へ駆け寄ってきた。身長160cmにも満たない小柄な隊員は、達也の横に立つと鋭い動きで敬礼する。 「お待たせしました!黒田 真希衛生医官、只今到着しました!」 「ご苦労。遅かったな、何をしていた?」 「すみませぇーん!装備とスキルの確認に手間取っちゃってぇー」 「そうか。しかし見たところ君は初心者(ニュービー)と言う訳でもあるまい。次回からは速やかに部隊と合流するように。いいな?」 「了解しましたぁ!...テヘへ、怒られちゃった」  その少女隊員は右手でヘルメットを押さえ、舌を小さく出してはにかんでいる。照れ隠しに隣に立つ隊員に笑顔を向け、目が合った時だった。 「ちょっと、達也お兄ちゃん?やったあ!同じ部隊だね!」  そう言うと少女隊員は達也に飛び込み、右腕に絡んで抱きついてきた。それを受けて達也は慌てる。 「ちょっ!こらこら真希ちゃん、連隊長の前だぞ!シャンとしなきゃ」 「大丈夫だって〜、ただのNPCなんだから。おっ、よく見ると兄貴もいるじゃん!これで3人揃ったね、ね?」 「い、いやまあ、確かにそうだけど...」  はしゃぐ真希を他所に、達也は恐る恐る不破の顔色を伺った。てっきり怒号が飛んでくるかと思ったが、意外にも咎めるような事はせず、その様子を見て微笑んでいるのみだった。隣で見ていたアキラが溜息をついて頭を掻く。 「はぁ...ったく、相変わらず空気読めない奴だな。おい真希ー、その辺にしとけよー?」 「何よ、せっかく一年ぶりにお金払って見に来たんだしいいじゃない!ねー達也お兄ちゃん?」 「あ、ああ、まあそうだね」 「...だめだこいつ、完っ全にパフェに目が眩んだか」  すると不破連隊長が前に出てきて、達也の右腕に絡みつく真希のヘルメットにポンと左手を置いた。 「黒田医官も須藤三佐と顔見知りか。...そう言えば医官と曹長は兄妹だったな。これは頼もしい限りだ」 「ありがとうございます、連隊長!」 「よし、これで全隊員が揃ったな。陸曹長、全員に招集をかけろ。私と須藤三佐より状況を説明する。三佐は私の隣へ」 「了解。整列!全員整列!!」  アキラが鋭く叫ぶと、その声がビルに乱反射して軽いエコーを引き起こし、皆の鼓膜を震わせた。真希を含む隊員達は雑談を止め、まるで示し合わせていたかのように10名6列に分かれて、即座に整列が完了した。それを見てアキラが再度叫ぶ。 「着眼!!これよりレンジャー大隊連隊長・不破一佐及び第一小隊隊長・須藤三佐より本ミッションの説明がある。各員傾聴!!」  耳鳴りがするほどの静寂の中、不破連隊長は一歩前に出て皆を見渡した。 「休め!!」 (ザッ!)  隊員たちは一糸乱れぬ動きで足を肩幅程度に開き、両腕を後ろに組んだ。達也はそれを見て、ゴクリと喉を鳴らす。 「私が第一空挺団・及び第一から第六小隊の総指揮を預かる、不破 樹連隊長である!栄光あるレンジャー大隊の中でも、生え抜きの精鋭である第一小隊の諸君らと行動を共にできることを、私は嬉しく思う!よくぞ此度の招集に応じてくれた! 早速だが状況の説明に入る。とは言っても私の見る限り諸君らの大半は、何らかの形で私の指揮を受けた事のある者ばかりのようだ。今更このような説明は不要かも知れないが、今回は本ミッション初参加の者もいる! 意思統率の意味も兼ね、改めて状況の説明を行いたいと思う」 (げげ、それ俺の事じゃん!)と、内心達也は舌打ちをしながら、要らぬ緊張が高まっていくのを感じていた。 「さて、現在都内は政府の戒厳令下にある為、諸君らも見ての通り完全に首都としての機能が麻痺しており、結果無人となっているが、そうなった原因が我々レンジャー大隊にある。 ...そうだ、我々は決起した。企業や軍産複合体に汚染された現在の無秩序な政権を打倒するため、日本国民の声と怒りに成り代わり立ち上がった、決起軍である!!」 「...クーデター...で、ありますか?不破一佐」  不破の背中をポカンと見ていた達也は、思わず口に出してしまった。何せ一年前は短期間で上映が終わってしまった為、その内容に関しての情報が圧倒的に欠落していたのである。そうした情報が意図的に削除されているという形跡すらあり、達也が映画の主旨を目にするのは今回が初めての事だった。  達也の声を聞いた不破連隊長は、首だけを横に向けてニヤリと笑った。 「まあ、有り体に言えばそうなるな」 「りょ、了解です、失礼致しました!」  別にクーデター自体に否定的な感情を抱いた訳ではない。それが現実では如何に無謀かと言う事がはっきりと分かりきっていたから、驚いたのである。  表沙汰にはなっていないが、企業複合体はそれぞれに強力な私兵団を抱えていると言われている。それらを合計すれば自衛隊と同規模か、それ以上の軍事力とも噂されているほどだ。  故に政治家は企業を恐れ、また企業をバックボーンに持つことでその財と権力を拡大しようと目論む。そのような腐った政治が蔓延した結果、今の大気土壌汚染に加え、地球規模で資源が枯渇した現在の世界の姿がある。 (クーデターを起こせるものなら起こしたい)と願っている者は、潜在的に恐らく五万といる筈だ。しかし過酷な現実を前にして、その夢は儚くも潰えるだろう。  この映画では、それをやろうとしているのだ。達也は自分の中で意識が切り替わっていくのを感じた。何故この映画がカルト的人気を誇っているのかを、断片的ながらも理解出来た気がした。 (せめて仮想空間の中だけでも、それを成功させてやりたい)そしてその為に自分には何が出来るのかを、達也は真剣に考え始めた。  その神妙な面持ちを察したのか、不破連隊長が達也の方を振り返った。 「...話を進めてもよろしいかな?須藤三佐」 「は、はい!お願いします!」 「では話を続ける。ここに集まった諸君らは、現政権を倒すという私の意見に賛同し、行動を共にすると誓ってくれた言わば同志達だ。貧しい生活を余儀なくされる国民たちに対し、緑豊かで平和な土地と豊富な食料を取り戻す。その為ならば命も惜しまないと約束してくれた者たちだ。改めて、集ってくれた諸君らには礼を述べたい。 そして本作戦を成し遂げる為、私も持てる力の全てを駆使して君達を勝利へ導こうと思う。皆、私に命を預けてくれるな?」 『ハッ!!』  隊員達全員が真剣な眼差しで不破連隊長に敬礼し、不破もそれに応える。 「よろしい!次に我らが第一小隊の隊長を務める、こちらの須藤 達也三佐より本ミッションに対する抱負を述べてもらう!ちなみに彼はミッション初参加となる!各員最大限の助力を彼に与えるように。では三佐」 「ハッ」  達也は皆の前に立ち緊張していたが、そうした感情とは裏腹に言いたいことははっきりとまとまっていた。 「みなさん!初めまして。この度隊長の任を与えられました、須藤達也三佐です。先刻不破連隊長のお話を伺い、本ミッションの主旨を初めて知ったという初心者(ニュービー)ではございますが、確たる上は全身全霊、皆様のご期待に沿うよう全力を尽くします!何卒、皆様のご指導ご鞭撻を賜れますよう、よろしくお願い致します!」  達也はキビキビとした動きで、皆に深くお辞儀した。しかし真希とアキラを除き、それを見る隊員達の目は冷たかった。(初心者に何が出来る?)とでも言わんばかりの視線が向けられていた。当然達也もこの事は想定内だったからこそ、自分も正直であろうと決意した。  上体を起こし、達也は皆の目を見渡した。 「皆さんの大半は、本ミッションに複数回参加しているであろう経験者だろうとお察し致します。僭越ながら私も、この世界と非常によく似たフルダイブ型VRMMOを長年プレイした経験があります。そのゲームの名は、”ティアーズ・イン・ザ・ムーン”。皆さんご存知の方はいらっしゃいますでしょうか?」 『?!』  その名を聞いた瞬間、60名の隊員達がお互いの顔を見ながらざわめいた。ゲーム好きなら知らない方がおかしいほど全世界で大ヒットしたタイトルだが、達也は(黒歴史をバラしてしまった)という羞恥心を必死に抑えながら、皆の反応を伺っていた。 「...ご存知の方が多いようですね。ではティアーズ・イン・ザ・ムーンを実際にプレイしたという経験のある方、正直に挙手願います!」  達也を見る皆の目の色が変わった。隊員達は互いに顔を見合わせて尻込みしていたようだが、パラパラと挙手する者が現れた。その数はどんどん増えていき、最終的には隊員の約半数・30名強の人数が挙手してくれた。達也はそれを見て、本心をそのまま吐露した。 「思ったよりもあのゲームの参加者が多かったようで安心しました。ありがとうございます」 「...隊長!!」  挙手した隊員の一人が、怒鳴るように声をかけてきた。 「はい、何でしょう」 「よろしければ、隊長のキャラ名を教えていただけませんでしょうか?!」  達也は目を瞑り、その後に深呼吸した。当然の質問だろうと納得したからだ。これを言った瞬間に、本名とキャラ名を特定されるのだ。個人情報漏洩にも繋がりかねない。  しかしそれ以上に、この映画の謎を解明したい。何よりティアーズ・イン・ザ・ムーンは既に引退している。知られたところで大した被害も出ないと踏んだ達也は、固唾を飲みながらその質問に答えた。 「...分かりました。ですがこれから言う事は、どうかご内密にしていただきたい。...私のキャラ名は、”The ORB”と申します。主に特攻隊長として、暗殺を生業としていた部隊を率いておりました」  その名を聞いた直後、隊員たちから一斉にどよめきが上がった。 「げ...」 「...マジかよ?」 「ジオーブって、あの連合軍の特攻隊長だろ?」 「俺、軽く100回は殺されてる...」 「タイマンじゃ負けなしっていう...」 「そんなんで済むかよ、エゼキエルの戦いじゃ2万人を虐殺したって聞いたぜ?」 「...ウソだろ?ウソだと言ってくれ」 「でもジオーブって言ったら、一人しか居ねーだろ」 「何だ、この無意味な絶望感は..?」  皆が噂する中、達也は申し訳なさそうな表情で彼らに詫びた。 「悪名ばかりが広まっているようですね、当然だと思います。そして私のせいで不快な思いをされた方もいるかもしれません。この場を借りて、お詫び申し上げます」  達也は再度深く頭を下げたが、その時だった。 「た、隊長!!自分はジオーブ指揮下の第六大隊にて、隊長と共に戦った者の一人であります!!」 「私は第二大隊の高射砲部隊に所属しておりました!」 「自分は第三大隊の特攻兵です!!」 「ジオーブ直下の工作兵として、暗殺部隊に従事しておりました!」 「俺は第四大隊の狙撃兵部隊に!」 「自分も第八特車大隊に所属しておりました!!」  かつての部下だと名乗り出るものが続々と現れた。達也に取ってこれは嬉しい誤算だった。その者たちを中心に部隊運用を行えば、連携も取りやすいと考えたからだ。 「みなさん、名乗り出て下さりありがとうございます!私は3年前既に引退した身ですが、当時私の指揮下にいた連合軍のみなさん、あの時私が定めたルールは覚えていらっしゃいますでしょうか?」 「ランアンドガン!」 「犬死無用!!」 「SK(集中攻撃)徹底!」 「負傷者を見捨てるな!!」  行ける。達也は手応えを感じていた。当時行っていた部隊の高速運用をそのまま活かせると確信に至ったのである。VRオプトシネマの土台は、VRMMOと大差ない。  それどころか、オプトネットの回線速度帯域はVRオプトシネマの方が圧倒的に勝っている。つまり、よりレイテンシーが少なく実際の五感に頼った感覚に近い反応速度が期待できると言うことだ。達也は再度、隊員達皆の顔を見渡した。 「もう一度だけ、もう一度だけ私に力をお貸しください! 皆さんもご存知の通りかとは思いますが、私も長年謎だったこの映画の真相が知りたい。その点において、私とここにいるみなさんの目的は同じな筈です!確なる上は、私も3年前皆さんを指揮していた当時に戻りたいと思います。 時には辛い指示を出すかも知れません。信じられないと思う事もあるかも知れません!ですが私は、ここにいる皆さん全員が生きてこのミッションから生還出来るよう、最大限の努力をするようここに誓います!先程不破連隊長も仰っていましたが、どうか私を信じて、私にも命を預けてください!まだ見ぬ先へ、ここにいる皆さん全員で辿り着きましょう!!」  (ウオオオーー!!)その場にいた隊員達全員が拳を振り上げ、雄叫びを上げた。真希とアキラに至っては嬉しそうに飛び跳ねている。それを見て達也は安堵の溜息を漏らす。すると背後に立っていた不破連隊長が、達也の右肩に手を乗せてきた。 「大人気だな。よろしく頼むぞ達也三佐」 「ハッ!ご期待に添えるよう全力を尽くします」 「よろしい。では引き続き具体的な状況の説明に入る」 「了解。傾聴!各員傾聴!!不破連隊長より目標の指示がある!」  少しオーバーアクション気味に右手を高く振りかざし、騒ぐ隊員達を抑制するように声を張り上げた。昔ゲーム内では作戦司令時によくやっていた動作で、若干の照れくささを感じてはいたが、効果は絶大だった。皆瞬時に騒ぐのをやめ、不破連隊長に向き直った。 「す、すげぇ、あの仕草。本物のThe ORB隊長だぜ」 「ジオーブってあんなに若かったんだな」 「よく見りゃいい男じゃねえか」 「くぅー、またジオーブ指揮下で戦えるなんて、胸熱すぎる!」 「なあ、ジオーブってそんなにすごいのか?」 「当たり前だ、あの人の指揮下なら間違いねぇよ」 「最強のニュービーじゃねえか...」  ヒソヒソとそんな小声が聞こえてきて、達也も悪い気はしなかった。不破連隊長が前に出ると、再度静寂が場を支配する。 「諸君らの士気が高まったようで何よりだ。早速だが具体的な作戦の指示に移る。各自マップを開いて作戦内容を聞くように」  隊員達は左側頭部のインカムに手を乗せた。達也もそれに習い左耳に手を乗せると、目の前の視界に現在地のマップが表示される。すると(戦術データリンク・KU回線)というウィンドウが強制的に割り込み、俯瞰視点の広域マップデータが視界を覆った。不破の声がインカム越しに皆の耳へ届いていた。 『まず我々の第一目標は、この渋谷区にあるNHTV(日本放送テレビ)の占拠だ。その目的は、ここにある強力な通信設備を奪取し、中継基地とする事にある。 広大な敷地を持つため、各所に散らばる他の小隊への兵站補給基地としても運用可能であり、大きなメリットの一つだ。ここに我々決起軍の橋頭堡を築く。現在地がここ、道玄坂上だ。ここから建物沿いに小道を伝って北上し、井の頭通りを跨いで無国籍通りに入る。 そこから更に無国籍通りを北上、渋谷税務署前信号脇にあるNHTV正面玄関より一気に突入・速やかに制圧に入る。尚その際、テレビ局内には放送局員や一般市民がいるものと推察されるが、彼らへの殺傷行為は固く禁ずる。繰り返す、一般市民への発砲は許可しない。 もし一般市民への殺傷行為が見られた場合、その者には重いペナルティが課されるのでそのつもりで。 また要所を警護する警察官についてだが、本ミッションにおいて彼らは味方ではないが、敵でもない。よって可能な限り戦闘は避けろ。但し応戦してくるようなら容赦するな。状況の説明は以上だ、何か質問は?』  達也には思う所があったが、他の隊員が質問しないか様子を見ていた。しかし誰もその気配を見せないので、不破連隊長に向き直って挙手した。 『須藤三佐!』 『ハッ!無国籍通りに入るとの事ですが、その手前の井の頭通りを北上すれば、NHTV西門前に辿り着きます。そちらから突入した方がよろしいかと思われますが!』 『最もな質問だ。しかし井の頭通りを北上した先にあるNHTVセンター下には、政府軍の大隊が道路を封鎖しているとの情報が入っている。橋頭堡も築かぬまま奴らと当たるのは得策ではない。須藤三佐、我々の最終目標は政府中枢が集まる霞ヶ関の制圧だ。そこに至るまでは事を慎重に運ばねばならない。理解してくれたかな?』 『ハッ!ご説明いただきありがとうございます!』 『よろしい、他に質問は?...なければこれより前進する。隊長、準備を整え出発』 「了解。陸曹長、各員二列縦隊。出発!警戒を厳にせよ」 「装備点検の後に二列縦隊、出発!警戒を厳に、急げ!!」  隊員達は素早く隊列を組み直し、部隊は出発した。先頭に不破連隊長・達也・アキラが立ち、その後ろを隊員達が続く。指示された経路はとにかく狭い小道が続くため達也は二列縦隊を選択したが、それは正解だった。渋谷を知り尽くした達也も驚くほど、街の再現度は高かった。さすがはVRオプトシネマである。  そして車一つ通らない井ノ頭通りを横断し、小道を伝って無国籍通りにまで到着した。そこからしばらく北上した時だった。  突如最前列に立っていた不破が左拳を掲げ、(待て)のハンドサインを出してきた。達也は咄嗟に片膝を付き、背後に控える隊員達に向かって同じようにハンドサインを出すと、隊員たちもしゃがんで銃を構えた。  200メートル程先には渋谷税務署前のT字路が見えている。達也は緊張すると共に、全神経が研ぎ澄まされていくのを感じていた。何が起きているのかを把握したいが故に、達也は左耳に手を当ててマップを視界に表示させた。すると正面T字路を左折した先に、青色の輝点の塊が移動しているのが見えた。  こういった場合、青色は味方、赤色は敵と相場が決まっている。それを知ってか知らずか、不破連隊長が抜き足差し足で腰をかがめて単独前進し、手にした双眼鏡をT字路に向けた。達也もマップの輝点に集中する。  もう間もなくだ。青色の味方を示す輝点がT字路正面に目に入る。決起軍の他の小隊だろうか?それなら何故不破はこのように警戒しているのか。達也は不破の行動に疑問を感じていたその時、T字路正面に部隊の先頭が姿を見せた。6列縦隊でこちらに前進してきている。その様はまるで軍隊のパレードのようだ。  直進するか、または右折してこちらに向かってくるのか? 達也が緊張していた時だった。双眼鏡を覗いていた不破が、こともなげに達也に告げた。 「須藤三佐、撃て。撃っちゃえ」 「...は?」  達也は耳を疑ったが、不破は立ち上がり敵に向けて正面の部隊にM4カービンの銃口を向けた。慌てた達也は咄嗟に反論する。 「連隊長、お待ちください!IFF(敵味方識別装置)では、正面の部隊は味方と表示されております!他の部隊の位置を確認するのが先かと思われますが!」 「そんなことしてたら間に合わないよぉ? それとも俺の言うことが信じられないかなー?」 「いえ!そういう訳ではありませんが...」  先程とは打って変わり、妙に間延びした不破の口調に違和感を覚えたが、今はそれどころではない。インカムのボタンを押し、背後にいる味方に向けて通信を放った。 『全隊、凹角陣! 1班2班3班は左翼、4・5・6班は右翼へ陣取れ!終わり次第その場で待機、次の指示を待て 』  60人の部隊が半分に別れ、それぞれビルを盾にするようにして道路左右に陣取った。右翼前方30メートル程距離を置き、銃を構える不破の身を案じて達也が歩み寄った、その時だった。 ───ドガガガガ!!  不破が銃を腰だめに構え、正面の部隊に向けて狂ったように発砲し始めたのだ。達也は咄嗟にミニミのバイポッドを立てて地面に置き、援護するべく照準を合わせたが、どうも様子がおかしい。  正面の部隊は不破の銃撃を受けても身じろぎ一つせず、ただ機械的に行進するようにこちらへと前進し続けていた。そして正面の部隊は銃を構え、何の躊躇もなく第一小隊に向けて反撃してきたのである。その直後、脳内にフューリーの声が響き渡った。 『戦闘モードに入りました、これよりチュートリアルを開始します。敵に照準を合わせてください』  達也は言われるがままに、フロントサイトとリアサイトを覗き込んだ。すると合わせた敵の陰影が黄色い輪郭に変化した。 『陸佐以上の階級を持つものは、この照準を二秒以上ロックする事で味方に集中攻撃を指示することが可能です。早速やってみましょう』 「この状態でチュートリアルかよ!過酷すぎるだろ...」  達也は身を伏せながら、反撃の弾幕が厚い位置を探した。そして分隊支援火器を持つ敵を発見し、そこに照準を合わせてインカム越しに叫んだ。 『各員へ!ターゲット、左翼ガンナー、射撃用意!』  ビルの影に隠れて防御していた隊員達が身を乗り出し、敵部隊に向けて銃を構えた。達也はすかさず指示する。 『撃ち方始め!!』  耳を劈くような激発音が周囲のビルを揺るがした。自らもミニミのトリガーを引き、左翼に向けて掃射する。ところが達也が指示しているにも関わらず、右翼に攻撃している者が散見された。達也はそれを見て、怒鳴るように叫ぶ。 『弾バラけてるぞ、左翼だ!!SK徹底しろ!!』  達也が激を飛ばす内に弾幕も集中し始め、敵の分隊支援火器を潰すことに成功した。敵は相変わらず、崩れた5列縦隊で黙々と行進しながら反撃してくる。防御しようともせず、まるで死を恐れていない様子だ。  達也はそれに気付いて背筋に薄ら寒いものを感じたが、躊躇すればこちらに損害が出てしまう。続けざまに照準をロックし、インカムへ向けて指示を飛ばした。 「次、右翼後方スナイパー!用意...撃ち方始め!!」  一斉射撃の轟音がビルに木霊し、さながら戦場の様相を呈していた。敵影だけが微かに見て取れる薄明かりの中、100名はいた敵の圧力も徐々に減り始めていたが、それでも行進をやめずこちらに黙々と反撃してくる。脳内に映るIFFでは未だ正面の敵が青く表示されているが、ペナルティが課される様子もない。  その時だった。小隊から40メートルほど前方へと離れていた不破連隊長に向けて、敵の集中砲火が一斉に牙を剥いた。そしてそれを見た達也の視界に、激しくアラートが点滅し始める。 『───緊急ミッション─── 不破連隊長を救え! スキルを使用して不破連隊長を窮地から脱出させてください。連隊長を失うと、その小隊全員にペナルティが課されます。一刻も早い救出を進言致します』 「くっそ!んな事言われても、まだ敵の圧が残っている!どうすればいいフューリー、教えてくれ!!」 『陸佐のみが持つユニークスキル・次元移動(ディメンジョナルムーブ)を使用してください。このスキルは全方位の有視界200メートルまで瞬間移動することが可能で、更には移動先が敵の射線から外れた安全地帯へと自動的に修正されるという特徴があります。急いでください、不破一佐もそう長くは持ちません』 「ええいクソ!まずはやってみろってことかよ!!...上等じゃねえか、アキラ君!!アキラ君聞こえる?!」 「何だい兄さん!このクソ忙しいときに!!」 「敵部隊中央に向けてSK、援護を頼む!」 「兄さん、何する気だ?!」 「不破さんを救出する!」 「...なるほど、了解!まだ序盤だぜ、死ぬなよ兄さん!! 「あたぼうよ!!」  達也は伏せの状態のまま、不破のいる右手のビル壁面に視線を移した。 「次元移動(ディメンジョナルムーブ)!!」  達也がそう叫ぶと、瞬きする間もなく視界が一気に切り替わった。左を見ると、敵に向けて銃を乱射している不破の足元が見えた。達也は咄嗟に立ち上がり、不破の襟首を強引に引っ掴んでビルの影に引き込んだ。 「よし!フューリー、次はどうすればいい?」 『次元移動(ディメンジョナルムーブ)は、手に触れた隊員一名に限り同様に瞬間移動させる事が可能です。不破連隊長に手を触れ、一気に部隊後方へと退避してください』 「了解!不破連隊長、一旦逃げますよ!」 「達也三佐、お前...」 「話は後です、俺に捕まって!」  見ると不破は足や腕を負傷している。達也は抱えるように不破の左腕を担ぐと、元いた第一小隊の陣地に視線を向けた。 「次元移動(ディメンジョナルムーブ)!」  二人は瞬時に部隊の右翼後方へと移動した。ここなら敵の弾も届かない。そして不破をビルの影に隠すと、達也はインカムのスイッチを押した。 『真希ちゃん!真希衛生医官!!不破連隊長の治療を頼む!右翼後方だ』 『りょーかい、今行く!!』  そして達也は再度前線まで移動し、身を伏せてミニミを構えインカム越しに叫んだ。 『よし、一気に行くぞ!ターゲット、敵中央!重装兵を潰せ、撃ち方始め!!』  敵までおよそ100メートル。完全に近接戦の中、達也のSKロックにより部隊の火力は一気に増大し、敵兵力を削り取っていく。この距離まで来ると、敵の腕や頭が弾け飛ぶ様が目視できる程になっていた。いくらボディアーマーを着込んでいるとはいえ、60名の集中砲火の前には紙同然だ。  敵の火力が弱まった事を受け、達也は立ち上がりミニミを腰だめに撃ちながらインカムに向けて指示した。 『鶴翼陣形!鶴翼陣形!!一気に落とすぞ、各班前進!!』  その言葉に隊員たちは素早く反応し、左右に分かれてV字隊形となった。それと合わせて達也の精密なSKロックによる指示により、見る見るうちに敵火力は弱まり、そして殲滅した。隊員たちは一斉に勝鬨を上げる。 『うおおおーー!!』  それを見た達也は再びインカム越しに確認を促す。 『全員グッジョブ!よくやってくれた。アキラ曹長、周囲を警戒しつつ隊員達の残弾数確認。負傷者は速やかに真希衛生官に報告!治療を受けるように。高部二尉は隊員たちの点呼を頼む』 『了解した、兄さん』 『了解、お兄ちゃん』 『高部、了解です!』  序盤からのこの激戦。セルフ・ディフェンス・フォースの苛烈さを思い知ると共に、まずは初戦を勝利で飾れたことを隊員達皆に感謝した。死者ゼロ、負傷者12。初戦にしては喜ぶべき結果だった。達也は隊員たち皆と握手し勝利を喜びながら、壁際へとしゃがみ込む不破連隊長の元へと立った。 「不破さん、傷の具合はどうですか?」 「ああ、真希衛生官のおかげですっかり良くなったよ。それよりも、良くやってくれたな達也三佐」 「いえ。しかしあのように前に出られては、防げるものも防げなくなります。連隊長の事は信頼しておりますが、ですから次回の戦闘からは、部隊の後方で指揮を取っていただけますよう、よろしくお願い致します」 「...クックッ、耳が痛いねえ。分かったよ、戦闘指揮は任せるぞ、達也三佐」 「畏まりました」  すると不破は胸ポケットから薬の錠剤の束を取り出し、そこから二錠を取り出すと口に放り込み、腰にぶら下がった水筒で一気に飲み下した。そして不破は深く深呼吸をし、鋭い目で達也を見る。 「さあて、行こうかタッちゃん。第一目標はすぐ目と鼻の先だよぉ?」 「ふ、不破連隊長、今の薬は?どこかお体でも悪いのでしょうか?」 「違う違ーう、気にしないでいいよぉ?これ飲むと調子がいいんだぁ。部隊の点呼が終わり次第出発、いいねタッちゃん?」 「り、了解しました不破連隊長!」  何故突然馴れ馴れしく自分の名を呼ぶようになったのか、あの薬は一体何だったのか、疑心暗鬼に襲われた達也であったが、彼がIFF(敵味方識別装置)に頼らず敵と認識してくれたからこそ、第一小隊はこの激戦を乗り越えられた。 今は彼の言うことを信じて前に進むしかない。達也はそう自分を納得させて、自らの残弾数を確認した。 ──────────────────────── ■用語解説 携帯型野外通信システム(FC net)  野外通信システム(Field Communication System、FC net)は、陸上自衛隊の通信システムの一つ。試作段階では新野外通信システムと呼称されてきた。戦略階梯(方面隊)で用いられてきた方面隊電子交換システム(AESS)、作戦術階梯(師団・旅団)で用いられてきた師団通信システム(DICS)、戦術階梯で用いられてきた地上無線機・野外無線機(85式および新野外無線機)を一括して更新するシステムとして開発された。周波数としてはHF・VHF・UHFが用いられる(ハンドヘルド型はVHF・UHFのみ)。通信技術にはInternet Protocolが採用されており、それにより迅速に高速かつ広域にわたる通信ネットワークを構成可能とされている。部隊間では広帯域多目的無線機のみ、あるいは基地局通信装置と広帯域多目的無線機の間でネットワークが形成され、基地・中央との通信は民間通信事業者や衛星通信システムを通じて確保される。 階級(ランク)  陸上自衛隊内の階級を示す。上から順に、陸上幕僚長・陸将・陸将補・一等陸佐・二等陸佐・三等陸佐・一等陸尉・二等陸尉・三等陸尉・准陸尉・陸曹長・一等陸曹・二等陸曹・三等陸曹・陸士長・一等陸士・二等陸士、という図式となる。 衛生医官  医官(いかん)とは、医師の資格を有する陸・海・空自衛隊の幹部自衛官のこと。一般的な軍隊の軍医に相当する。なお、歯科医師の資格を有する者は「医官」とは別の制度である「歯科医官」となる。 NPC  ノン・プレイヤー・キャラクターの略称。広義にはゲーム等で、プレイヤーが動かしていないキャラクター全般を指す。 ティアーズ・イン・ザ・ムーン  2150年に北米・レヴィテック社から全世界同時発売された、一人称視点(FPS)のフルダイブ型VRMMORPG(仮想現実大規模多人数参加型オンラインロールプレイングゲーム)。ゲームの舞台としては第二次世界大戦を模した世界となっており、プレイヤーは参加時に連合国側・または枢軸国側の2陣営どちらかを選択する事になる。尚銃器等の武器は第二次世界大戦当時の武器ではなく、近代的な銃器に置き換えられており、プレイヤーは数百種類の中から好みの武器を選択できる。オプトネットを介しての視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚を忠実に再現しており、本物の戦場にいるかのような臨場感とリアルな世界構築に成功した、数少ないVRMMOの一つである。戦闘型式は10人対10人の小規模戦から、10万対10万といった大規模戦闘まで対応しており、そうした戦闘の際は現実の戦争と同じく、優秀な指揮官と歩兵達との連携が勝利への鍵を握る要素となる。全世界で累計4500万本というセールスを記録した大ヒット作品となった。2160年現在でもゲームは稼働中である。 SK(集中攻撃)  名前の通り集中攻撃を促す略称で、ティアーズ・イン・ザ・ムーンでは部隊長が敵ターゲットを指定し、SKの掛け声と共に一斉に一つのターゲットに対し集中攻撃を行い、優先ターゲットを先制して倒す為の合図となっていた。 M4カービン  M4カービンは、主にアメリカ軍が採用しているアサルトカービンライフル。第二次世界大戦に採用されたM1/M2/M3に続き採用された。本来、カービン (Carbine) とは歩兵用小銃より銃身が短い騎兵用小銃のことであるが、現在ではおおむね「小型のライフル」を意味する。他のアサルトカービンと同様にM4はコンパクトで、フルサイズのM16と比べて取り回しがし易いため、戦闘車両の乗員や将校らが使用することが多く、また、その可搬性のよさから身動きの取りづらい都市部における近接戦闘や特殊部隊、空挺部隊による特殊任務にも幅広く使用されている。弾薬は5.56x45mm NATO弾を使用する。
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