始まりは不意に

2/20
459人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
 いくつかの彼の手掛けた舞台を観てきた。脚本家 兼 時に監督を務める三坂敦也。  彼の名前に惹かれて、ここの劇団を希望したのだけれど。まさか初日から姿を見られるなんて。  「じゃ、割り振り通りに散らばって」 三坂敦也の声に、座り込んだ人達が動き出す。 「来週からそのグループで動くので、各自挨拶を済ませておくように」  プリントで渡された名前表示は6名。どうやら、入団仕立てはすぐ、グループ割りをされ、講習という名の練習から入る様だった。  最初っから、舞台に結び付くわけじゃないんだな。やっぱり道程は長そう。  集まったメンバーはだいたい皆同じ歳ぐらい。 「宜しくね!」 親しげに笑う女の子から声が掛かった。  やっと、夢に1歩だけ、近付いたのかな。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!