始まりは不意に

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 ……ん… 下唇をなぞる……指の感触? 「やっと起きたか」 目を開けたら目の前にイケメンが。……じゃなくて、蓮がいる。枕もとに腰掛けて私を見下す。  いやこれはたぶん夢落ちだ。きっと夢。柔らかい毛布を目の上まで引き上げて顔を隠す。 「寝るな」 引っ張られそうになる毛布を死守。目だけを出して上目遣いに蓮を見上げる。 「なんでいるのよぅ……」  寝顔見られたのかなあ。怒るより恥ずかしいが先になる。毛布が離せない。 「台本借りに来た、どこ?」 「持ってないの? そこの上」 パソコンデスクを指差す。立ったままデスク前でパラパラと台本を捲る音がする。 「あぁやっぱな。1枚抜けてんじゃん」
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