始まりは不意に

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 「ひゃっ」  蓮に抱き締められて、キスよりびっくりした。どうしてだろ。 「我に返るな、七海」 吹き出してる蓮が、屈託のない笑顔で笑って…… いや、ちょっとウケ過ぎだし。 「なあにすんだよぅ……」 そっか、キスしたんだ。蓮と。急に照れくさい。  蓮が私の横へ座り直して、ちらっと台本の方へ目を向ける。 「どうだった?」 素敵だった! ……思わず惹き込まれてキスされちゃうくらい。 「ん、すごかった」 だけど言えない。あんまりにも照れるから。 「それじゃわかんないって」  「へこんだ、私。よっぽど蓮の方が上手」 私あんな演技できてないよ。
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