始まりは不意に

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 がんばってお金貯めて、劇団まで入ったのにな。本職持ってる蓮の方が、よっぽど魅力的な演技してる。 しかも、バイトでモデルとか。あり得ない。 「俺…… わりとマジなんだけど」 蓮が私の顔を下から覗き込む。だから反則なんだってば、その斜め視線攻撃っ。  私はひとりでドキドキしてたけど、蓮はちょっと違ってたみたい。 「次の舞台立つ前には、今の仕事も辞めるつもり」 「え…… じゃあ」 「そっ。本気」 俳優になるつもりなんだ。本気で……  まだスタートにも立ってない私から見たら、すごく蓮が遠い存在に感じる。別の世界の人みたい。  追いつけるのかな。今、蓮がいるところまで。
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