始まりは不意に

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 リビングで顔を合わす時なら、全然平気なのにな。なんとなく落ち着かない。 「はい、これ。届いてたから」  郵便物を差し出されたけど…… いつもなら各自の郵便箱に入れておくものだから、少しの違和感があった。わざわざどうしたのかな。  ちょっと黙ってた浩斗さんが、落ち着いた表情をして微笑んだ。 「七海ちゃん、今度からは鍵を掛けなきゃだめだよ」 「え……」 そういえば、すっかり忘れてたけど、蓮も勝手に入って来てたんだっけ。 「今までは一階は七海ちゃんだけだったから」 部屋に居ると、鍵を掛け忘れることが結構ある。 「はい、気をつけますね」 注意しに来てくれたのかな。って、思ってたら。 「七海ちゃん」 浩斗さんの眼差しがまっすぐにこっちに向いて、ちょっとドキッ…… だってずっと憧れてた人なんだもの。仕方ないよね?
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