叶えたい

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 無防備だな…… 唇に触れた蓮までついでに思い出す。う、赤面する。思い出すのはやめとこう。    三坂先生がグループの間を廻り、個々に指導して行く。  「舞台か、ドラマなのか」 先生によると、それに合わせた演技や立ち位置が必要とされるという。だけどまだ難しくて台本を読むだけで精一杯。    指導の順番が廻ってきた。 「穂高くんのいるグループか」 手にした台本に書き込みをしながら、三坂先生がチェックを始める。肝心の蓮は遅刻するらしくまだいなかったけれど。 「早瀬、役女性その壱」 「はいっ」 稽古用台本には登場人物に名前が付いていない。  『女性その壱』メインのいない短編ストーリーの中の登場人物に決定した。六人、あ、蓮が加わったから、七人が平等な割合で台詞を読み上げていく。    三坂先生は滑舌の悪いメンバーを指導中。想像していたよりもしっかりとした指導に驚いていた頃、ようやく蓮が稽古に参加を始めた。
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