叶えたい

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 稽古の終わり際に、他所で行われているオーディションの案内書が配られて終了。劇団ANGELは入団後に、各自が活動を広げる手伝いもしている。  「七海、行こう」 当たり前みたいに蓮がくっついて来た。それが嬉しくてちょっと笑った。 「今日は…… たこ焼き!」 「はあ!?」 並んで歩く二人が嬉しい。 「どうしていきなりたこ焼きかな」 「七海見てたら思い出した」 顔が赤くて、タコだって。酷いなって笑い合う。  蓮が微笑んで、私の腕を掴んだ。 「おいで、七海」 引っ張られて来た通路を逆戻り。ビルのエレベーターへ。一番上の階で停まって、そこからは階段。    「鍵、閉まってるでしょ?」 屋上に出るための扉を蓮が開く。 「皆には内緒な」 合鍵をちらっと見せてくれた。特別扱いにため息。
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