叶えたい

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 稽古後の屋上は、すっかり日が暮れていて。吹いてくる風が少し肌を冷たくする。 「え……!」 だけど、フェンス越しに見える光景に見惚れた。 「綺麗だろ」  鮮やかなオレンジ…… 紅くも見える夕焼け。  陽が落ちだした下に見える高低差の様々な建物が並ぶ街並み。  あ―― 一瞬、強い風が吹き抜けて、私の長い髪が舞い上がった。  ふわっと。首に絡んで来る蓮の両腕に包まれる。背中が蓮の体温であたたかい。 「七海…… 思い出した?」 頬のすぐ後ろから、蓮の息がふれる。小さく顔を横に振る。やっぱりなんのことかわからなくて。 「……っ」 耳たぶにふれた蓮の唇が耳元へ囁く。 「約束も…… 忘れた?」 唇がうなじをなぞって落ちて行く。  背後から抱き締められてる腕に力が入っていく。
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