ある日突然に

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「あ……」 奥の扉で蓮と向かい合った。リビングルームの奥、ここから先は二部屋、私達だけ。 「あ、私早瀬です。宜しくね」 ちょっとだけ、焦る。見惚れてしまったの、気付かれてないといいな。   奥の扉を開く。私が先で、彼があとに続く。 細い通路の突き当り、左右に同じ扉。私が左側、彼…… 蓮が右側の部屋。 「それじゃ……」  行こうとして後ろを向いた瞬間だった。  え――?  いきなり左手首を掴まれた。  蓮の瞳が怪訝そうに私に向いてる。 「覚えてないの?」 わかんない。というより、初対面よね? 「なに? ……?」 掴まれた左手がぐいっと蓮の方へ引っ張られる。
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