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ち、近いっ。顔が近いってば。どぎまぎする私の顔を覗き込んで、蓮が言い直す。
「いいや、忘れて」
掴んだ腕を離して、さっさと自分の部屋へ。パタンと閉じた扉を確認して、私も自分の部屋へ入った。
パタンッ―― 背後で扉の閉まる音がする。
なんだったの、今の。へなへなとドアの前に座り込む。ちょっと呆然とする。
『覚えてないの?』
確かにそう言ってた。あんなかっこいい人、何処かで会ってたら忘れるわけが無い。記憶を辿ってみるけれど…… 浮かんではこない。
窓は左手側で、ベッドは右寄り。間に小さなリビングテーブルと、パソコンの置かれたデスク。クッションが幾つか。とてもシンプルな自分の部屋で、ベッドの上、壁にもたれてしばらく考えてみる。
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