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『とかく人間というものは、自分の尺度でしか物事を考えない、愚かな生き物だ』
「はいはい、そうです、おっしゃる通りです。だからどうすればいいか教えて下さい」
ここで下手に逆らうと、貴重な質問タイムを失う事になる。それはこれまでの経緯で重々承知していた。
『いいか。地面にばら撒くという事は、七宝玉が離れ離れになっているという事だ。目の前に揃っているというのは、思い込みでしかない』
「はいはい、それで?」
『目の前に揃っていればいいのであれば、宇宙そのものである私にとっては、小さな銀河系の中の太陽系という更に小さい中の、更に更に小さい地球の中にすでに揃っているようなものだ。逆に言えば、一ミリ離れていようが、百キロ離れていようが、離れている事には変わりはない』
この自称神様は、毎回このように言ってくる。
人間の尺度で物事を考えるな、と。
「で、どうすればいいんだ?」
『心配しなくとも、全て集まった時点で私はお前の眼の前に姿を現す。呪文など必要ない。ただ、七宝玉同士が接触していればよいのだ』
「つまり?」
『お前はアホか?だから、集めた七宝玉は袋に入れておけばよい。そうすれば全ての七宝玉は接触し合っている事になる』
なるほど。という事は、ただただ七宝玉を回収すればいいだけという事か。
『そろそろ時間だ。次の七宝玉を‥‥‥』
画面が切れた。どうやら七分経ったようだ。
やっと六個集まった。後一個だ。
俺はため息をつきながら、これまでの事を思い返した。
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