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これまでのいきさつ?
四月も終わりに差し掛かり、間もなくゴールデンウィークが始まろうかというその日の放課後、俺、松原智樹は帰宅途中にある宇祖神宮に立ち寄った。
ふと、境内の隅にひっそりと佇んでいる枝垂桜を見たくなったからだ。
この辺一体の桜の花は、四月も半ばになると全て散ってしまうのに、何故かこの桜だけは遅れて咲き誇るのだ。
桜の花というよりは、舞い散る桜の花びらを見るのが好きな俺は、木の根元まで来てそっと木の幹に触れながら上を見上げた。
それに応えるかのように優しい風が吹き、花びらがはらはらと舞い落ちる。
それを目で追っていると、足元に何かが落ちているのに気が付いた。
ここに来た時には気が付かなかった。
この場に似つかわしくないそれは、一見すると少し前に流行った携帯ゲーム機のように見えた。
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