これまでのいきさつ?

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 目の前に広がる風景は、それまでいた境内ではなかった。  もしこの世界のどこかに地獄というものが存在するとしたら、こんな風景かもしれない。  空は真っ赤に染まって、そちこちから煙が立ち込めている。草木は一本も生えていないし、地面は岩だらけで、空の色に染まるかのようにそれらも真っ赤に見える。  これで鬼と亡者がいたら、間違いなく地獄だろう。 『君は今、大魔導士イオザドが蹂躙した、とある星を見ている。あと百と一日もしたら、この地球もこのようになると言っても、松原君はまだ私を拒絶するのかい?』  自称神様がそう言うと、辺りはまた元の境内に戻った。 「い、今のは?」 『君が行動を起こさなかったら未来の地球もこうなるぞ。と言っても、君が何もしないでいたらの話だけどな』  いや、待て待て。  まあこれだけのものを見せられたら、まるっきり信じないという訳にはいかないけど、でも、一高校生のこの俺に、何ができるっていうんだ? 『確かに、この地球を救う、救わないは君の自由だ。だが、せめて取扱説明(トリセツ)を聞いてから判断してもいいんじゃないか?』 「でも、なんで俺が?」  その問いに、自称神様は即答した。
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