完全予約制の情報屋カセイ

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「さっきの無茶ぶり、何だったんですか! 何で俺が仕事以外のことまでしなきゃなんないんですか。聴いてないですよ」  使用済みのティーセットを洗い終えた俺は、再燃した怒りにまかせて言ってしまった。  カセイさんはティーポットにまだ残っていたらしいアップルティーを自ら注いでいる。目は何故か嬉しそうだ。 「だって、そう言ったほうが楽じゃない? しゅー君だって知ってるでしょ、伯母さんの世話やき癖。私はあれが鬱陶しくてね」 「カセイさん、めんどくさがりですしね」  しまった。つい口を滑らせ本音が出てしまった。  カセイさんの鋭い眼光を感じる。逃げたい。 「むっ。何か言ったぁ~?」 「いいえ、何でもありません!」 「ふうん」  カセイさんがふうんと返した時は、決まって納得していないときだ。  不満げだけど、それを気にしたら負けだ。  ――っと、突然電話が鳴った。もちろん、俺が電話に出た。 「もしもし。……あ、情報提供ですね。何時が宜しいですか? ――午後八時ですね。では午後八時ということで予約をおとりしました。では」 「相手は?」 「先ほどの市旗さんの旦那さんだそうです」 「例の失踪事件絡みの情報かしら」 「かもしれませんね」  俺は自分用の紅茶(ダージリンティー)を淹れるべく、台所からティーセットを出した。
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