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仮想現実空間《ヴィジット》
家電量販店・ワンダフルに来た何と鷲野。
ゲームコーナーで目的のソフトを探している時、鷲野がカセイに聞いた。
「でも、カセイさん」
カセイは陳列された様々な種類のソフトを見ながら聞き返す。
「なぁに、しゅー君」
「僕ら、情報屋ですよね。情報屋がどうして事件の謎解きみたいなことしてるんですか? 今僕らがしていることって、本当は探偵とかの仕事じゃないんですか?」
カセイが一瞬、鷲野に振り向いた。
「実は昔、青灯凪乃のお母さん――青灯ハル子は、高校時代の親友なのよ」
「そうなんですね……。知りませんでした」
「話してなかったからね。ごめんなさい」
「いえ……。でも、どうして」
「ハル子は、私にとって初めて出来た友達であり、親友だから、ハル子に何かあったら、――いや、なくても、助けになれたらって思うの」
「親友への想いが、今回の事件を追う理由でもあり、原動力になっている、と、そういうことなんですね」
「そうね。――あ、あったわ!」
カセイが一本のソフトを手にとって、鷲野に見せる。
「あ、本当ですね。じゃあ、俺が買ってきますんで」
「ちゃんと領収書貰ってきてね。……宛名は〝いんふぉ〟で」
〝いんふぉ〟とは、カセイが表向き用に始めた、情報サイトの運営会社。ちなみに、カセイはその会社の社長兼編集兼ライターだ。
「わかりました。そのように伝えておきます」
「お願いね」
カセイは鷲野がお会計をしている間、在庫としてもう何本かあるヴィジットのパッケージに書かれた世界観やシステムを読んでいた。
「ステータスがテーマで、世界観もそれに合わせて構築されているってわけね」
そこまで読み取ったところで、鷲野がこの店の名前のワンダフルのロゴが印刷された袋に入った状態の例のゲームソフトを持って戻ってきた」
「買ってきましたよ。さ、行きましょう、カセイさん!」
「そうね」
カセイと鷲野はワンダフルをあとにした。
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