100㌫、悪人なんです!

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 「キャット・ウルフ・・・い、いえ、月影さん。知らなかったんです」  「いまから教えてやるよ」  先輩、後ろ振り返る。  先輩の取り巻き。五人のブレザーの女生徒。ニヤニヤ笑って、残りのふたりを取り囲んでる。  「助けてください。お願いです」  金髪の人、涙声だった。  「家には、年とった両親と妹ふたり。  ハムスター飼ってて、今日はオレがエサと水の当番なんです。  お願いです。見のがしてください」  「だめ!いいとこ行くんだ!」  三人はこれからの運命を知ったのか、あきらめの表情で連行されていく。  「もうダメだ!おしまいだ。エーヘヘヘヘヘ」  泣きながらケタケタ笑う声。ついに頭おかしくなったみたい・・・  たぶん駅前のアジト行くんだ。  先輩ったら、僕にはそんなこと教えないけど・・・  「健!」  やさしい声が僕を呼ぶ。頬をなでられる。  「家まで一緒に帰りたかったのに・・・ちょっと話してくる。  なるべく早く帰るから・・・」  先輩、背中を向けた。  「サキさん。エンコージジイの件はどうするんです?時間が・・・」  二年の美柳さん。  「やめろ!いま話すな!」  先輩の不機嫌な声。  声が遠ざかっていく。  僕のいないとこでなにやってるか、詳しく知ってる。法律に触れるってことも・・・  だけど僕・・・  先輩のカレ氏だから・・・  ひとりで先輩の自宅に帰る。  僕、受験勉強で遅くまで起きてるつもりだけど・・・  僕が寝るまでには帰ってはこないだろう・・・
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