100点満点の涙・・・

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100点満点の涙・・・

 手紙読み返す。いろんなこと思い出す。  麻衣ちゃんが引っ越す前の日。  麻衣ちゃんの家で家庭教師してもらった最後の日。  麻衣ちゃんの部屋で、ワンワン泣いた。  麻衣ちゃんは別に泣いてなかった。黙って僕の様子見てた。  僕、自分の持ってる勇気、ぜんぶ使った。  「麻衣ちゃんのこと、大好きです!十八になったら結婚してください!」  麻衣ちゃんは僕の顔見てなかった。  「日下君も中学だから、『先輩』と呼ぶように言った。また忘れた」  ラッピングした箱を僕に渡した。  「ボールペン!  しっかり勉強して。  泣くだけが100点満点にならないようにね」  そう言って立ち上がる。  「明日の引越しの準備がある」  僕に、  「帰れ」 って、心で言ってる。  「麻衣ちゃん」  泣いたまま、声かける。  「『先輩』と呼ぶように言った」  引越しの片づけを始める。  「日下君のお母さんに頼まれた。  『わたしも忙しいんで、健の姉さんになってくれないかな?』  母もそうするように言った。年も離れてるから、ハッキリ言って迷惑だった。  じゃあね。  これからは、たまにしか会わないと思う。  泣いたって慰める人、もういないから・・・」  それが別れの挨拶・・・  
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