11.一家離散かわらしべ長者か。二転三転ホテル探しの旅(前編)

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11.一家離散かわらしべ長者か。二転三転ホテル探しの旅(前編)

 ホテルがやっと決まりました。  というより、報告していませんでしたが、実はこの半年の間に何度も予約換えを繰り返しておりまして。とうとう決着がついたのがつい先週のことです。  いやあ、コスモトラベルさんが頑張ってくれました。本当にありがとうございます。  という訳で、ここに至るまでの経過報告を。 ―*―*―*― [1打席目 デッドボールで辛うじて出塁]  当初の状況については、第3話に書いた通り。  まさかあの大都市に幾千幾万とあるであろう宿泊施設の全てが満室とは、想像の地平線の遥か彼方の出来事でした。  コスモトラベルの社長は民族大移動みたいなことを言っていましたけど、今になって思えば、ドーム5万人といえどもその全員が泊りがけで来るはずもなく、おそらく半分くらいは近隣から日帰りでやって来るのでしょう。  だとしたら残りは2万5千人。札幌ほどの大都会なら、それくらいは余裕で飲みこめそうな気がします。  実際どうなんだろうと、ちょいとネットで調べてみました。  すると札幌市の公式資料によれば、2018年現在札幌市内のホテル・旅館・簡易宿泊所まで合わせた宿泊施設の総数は249軒。客室数29,029室。定員数は58,002名とのことです。  うーん、5万人でギリギリ。その半分の2万5千人なら、まあ余裕か。  でもでも、通常でもそれなりの利用者はいるはず。仕事で訪れる人も多いだろうし、ホテル経営が成立するためには、恐らく常時8割程度の入室率は必要ではないでしょうか。  となると残り2割の枠に2万5千人をぶち込むのか。  と思って公式資料をよく見たら、ありました。平均稼働率75%だそうです。  ならば、嵐ファン推定2万5千人に対して宿泊できるのは、定員5万8千人×残り25%=1万4500人。はい、1万人ほど溢れました。  マジか。  それに仕事で来る人達は、半年も前から予約を取る方が少数派でしょうから。つまり溢れるのは嵐ファンでなくビジネスマンの方々……。  ホンット、ごめんなさい! と思わず手を合わせたくなってしまいます。  かく言う我が家も、一泊目は別々のホテルしか取れず二泊目は市内から遥か数十km彼方の山の中という、一家離散難民状態なのですが。 ―*―*―*― [2打席目 空振り見逃しで三振アウト]  コスモさんに2泊目として取ってもらった温泉旅館というのを、ネットで覗いてみました。  札幌市内から西へ約20km、定山渓温泉という所です。  ホテルの名は伏せますが、いやあ実に良さそうな温泉郷ですね。施設も立派、ここで紅葉を眺めながらのんびり露天風呂なんて最高です。  でも今回はそんなのんびりしている余裕はないし、交通手段も問題なので、出来ればもっとご近所が良い。  こうなったらやはり、コスモさんに頼ってばかりでなく、自力で探してみるか。  という訳でネットをポチポチとやってみたのが、ゴールデンウィークの最中。コスモさんが頑張って一泊目の一家離散の悲劇から我が家を救ってくださった、あのすぐ後のことです。  ではでは、『札幌 ホテル』と。ポチッ。  予約サイトが沢山出てきました。上から順に覗いてみましょう。  宿泊日は11月15日、一泊と。 『現在お取り扱い出来ません』 『該当数0件』 『該当するホテルはございません』 『……』 『該当件数1件 定山渓温泉○○ホテル』  はい、しゅうりょー。  ふう。
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