14.札幌ドームに行って来た(前編)

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14.札幌ドームに行って来た(前編)

  令和元年11月14日、木曜日。ついにその日がやって来た。 [6:30AM]  愛車のトランクにキャリーバッグ3個を詰め込み、家を出る。  娘の紗胡は昨夜遅くに帰宅し、合流済みだ。昨日は授業が終わるのが午後6時頃とのことで、それから一度荷物を取りにアパートに戻ってから再び電車に乗ったので、我が家に到着したのは夜の11時近くだった。これだけでもちょっとした小旅行だ。  しかし、本番はこれから。  まだ明けきらぬ秋空の下、一家3人が乗った車は東北自動車道を北へとひた走った。 [8:30AM]  早朝の東北道は通行量も少なく、ほんの1時間余りで福島県矢吹インターに着いてしまう。  そこから阿武隈高原道路に入り、東へ向かうこと更に30分。人里離れた山間(やまあい)に敷かれた真新しい道路をしずしずと進むと、東北の玄関口、福島空港に到着だ。  気付けば、頭上はどんよりとした雲り空。晩秋の冷たい風と低く垂れこめた雲が、これから進む道行きの険しさを暗示しているかのよう。  などということは全くなく、空港の玄関先で俺達をお出迎えしてくれたのは、なぜかウルトラマンだった。 「なにこれ、何でウルトラマンなの?」 「さあ?」  妻も娘も首を捻っている。  エントランスを入ると、そこかしこにウルトラマン。売店にウルトラマンコーナーまであった。  円谷プロと福島って何か関係があるのだろうか。  空港と言えば羽田か成田くらいしか知らない俺には、福島空港の建物は予想以上にこじんまりとしていて、宇都宮駅の駅ビルよりも小さく感じた。  だがその造形は山里には場違いなほど近代的で、その奥にはこれまたびっくりするほど広大な滑走路が広がっている。  こんな人里離れた山奥に隠れるように佇む最先端の施設は、まるでウルトラ警備隊の秘密基地みたいで、ウルトラマン世代のオヤジにはドストライクの好印象だった。  オラ、ワクワクしてきたぞ。192404d3-9887-4d11-98bb-d40d1d9a5a21
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