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が、そんな正義のヒーローよりももっと目を引くものが、その秘密基地を占拠していた。
それは、『５×２０』というロゴの入ったトートバッグをぶら下げた、乙女の軍団。
初めのうちは、施設や案内看板を気にして上の方ばかりを見ていたので気付かなかったが、搭乗手続きをしようとカウンターへ向かい視線を下げたとたんに、その真っ赤な文字が目に飛び込んで来た。
おお、と思ってぐるりと周囲を見回すと、同じバッグが空港内を無数に行き来している。
そして同じ形状だが、大きなロゴではなく小さなマークがいくつも付いているデザインのものもある。
なるほど、二種類あるのか。と思ってよく見たら、単に裏表なだけで同じものだった。
いったい何個あるんだ。パッと見で視界に入っているだけで二・三十はある。
そっかー。
俺は半年前の、航空チケット争奪戦の苦労をしみじみと思い返していた。
ここに居並ぶうら若きお嬢さん達（うら若くないお嬢さんも多数おられましたが）はみんな、俺と同じあの死線をくぐり抜けてきた同志なんだなあ。
うんうん、みんな大変だったよねー。
今日のコンサートは、思いっきり楽しんでねー。
……コンサートを見られない俺の分まで。
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