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彼女が泣くのをえんさんが宥める。 その涙さえ拭いてやれない自分が疎ましい。 彼女はすすり泣きながら 「あなた。お願い。その叢から出て顔を見せて。もう二度と見れないかもしれないのだから。」 私は少し迷いつつも叢から顔をだした。 彼女は私に近づいてくる 私は恐怖でいっぱいだった。彼女に近づく恐怖が頭の中を支配した。 彼女は私の頬に手をあてようとする その時、私の体は桜吹雪に包まれ虎の姿へと変わっていった。 私はすぐに彼女から離れた だが 「待って。」 彼女が私を引き止める。虎の姿へなってもまだ人間の心は残っているがいつ理性がなくなるかわからない。 彼女は私の毛の生えた頬に手をあてそして口づけをする。そして彼女は私に桃色の花で作られた冠を私の耳にかけた。 「あなたと会えたことは一生忘れない。その花冠ね、造花で作ってあるの。枯れることのない花冠。ずっと大事にしてね。」 「ああ、わかった。」 「そしてね、私は帰ったら息子と共に家の庭に桜の苗を植えようと思う。さっきあなたが虎になったとき桜が吹雪く姿はとてもきれいだった。その木はあなたがいつでも帰ってきていい場所。私があなたのことを忘れない証拠。だからいつでも帰ってきてね。」 「ああ、わかった。」 私の目は涙で溢れていた。 そしてあの酔うような感覚が襲ってくる 私は彼女から離れる。 そしてもう二度と彼女に会うことはなかった
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