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何を言ってる?
アブナイ奴なのか?
それとも僕は、夢を見ているのか?
確かに今日は飲みすぎた。
そうだ。
夢だ。
それしか考えられない。
僕は、思いっきり頬をつねった。
「イテテテテテ!」
「何をしているんですか?」
不思議そうに、彼女が首を傾げた。同時に、アクアマリンの瞳が少し大きくなった。
全く。
誰のせいだと思ってるんだ……。
しばらく待ってみたが、目が覚める気配はない。
彼女が消える様子もない。
ということは、これは現実?
まさか。あり得ない。
アニメの世界じゃあるまいし。
僕たちは、まるで時が止まったかのように、じっと見つめ合っていた。
もし、百歩譲って、これが現実だったとしたら、僕の目の前にいるのは、ウサギなのか? 人間なのか?
いや、人間じゃないことは確かだ。
僕の知る限り、月の光で変体するような人種はいないはずだ。
……ということは、何だ?
「私は、月の精です」
突然、僕の脳内をスキャンしたかのような回答が、彼女の口から飛び出してきて、僕は驚きのあまり少し後ろにのけ反った。
まさか、心の声が聞こえたのか?
アホみたいに口を開けたまま、僕は彼女を見つめた。
青く澄んだ瞳が、彼女の美しい顔立ちを一層妖しく彩っていた。
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