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再び塞がりそうになった声帯を必死でこじ開け、僕は言葉を絞り出した。
「い……いつまでに……?」
ゆっくりと、彼女が光の差す方を見上げた。
「次の満月……」
再び僕の方に向き直った彼女は、きっぱりとした口調で答えた。
「次の満月がタイムリミットです。それまでに、あなたの大切なものを戴けなかったら、私は光となって消えてしまいます」
消える? 光となって? それって、死ぬってこと? 人魚姫か? いや、あれは泡だったか?
……なんてことはどうでもいい!
満月? 次の満月って言ったか? それまでに、僕の大切なものが見つからなかったら……?
「ええーっ!」
冗談……だろ?
ちょっと待って。
それって僕、責任重大なんじゃ……?
ようやく状況を理解した僕は、慌てて部屋の中を見回した。
「大切なもの……。大切なもの………」
その時、彼女の冷めた声が、穏やかに響き渡った。
「無駄です」
「え?」
アクアマリンの瞳が、鋭く輝いた。
「月の審査は、一晩につき一回です」
「へ?」
「残念ながら、今日の審査は終了いたしました」
審査? あれって審査だったの?
てことは、記念すべき第一回目の審査は、敢え無く不合格ってこと? 僕のパンツで?
……って、ええええーっ!
そんなことに、僕のパンツ使わないでくれよぉ。
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