下弦

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僕は食器を持つと、足早にその場を後にした。 背後から声が聞こえてくる。 「おいおい。お前ら、ガキみてーなこと言うのやめろよ」 「またまたぁ。冬馬もひでーよな。だって、あれだろ? あいつと連んでるのって、顔目当てなんだろ?」 「そうそう。合コンにあいつ連れてくと、ポイント高ぇーもんな」 「しかも話つまんねーから、結局俺らが頂き! ってな」 「お前らなぁ……」 僕は学食を飛び出すと、自然に走り出していた。 『肇くんって、なんかつまんない』 『イケメンだから期待したのに』 『とんだ見かけ倒しだよね』 『なんか、想像してたのと違う』 ……うるさい……。 うるさい。 うるさい! 勝手なイメージで、僕を決めつけるな! ーーケッキョク ボクハ ヒトリ ナンダーー 冷たい……。 見上げると、空から大粒の雨が落ちてきて、僕の顔を叩きつけた。 いっそのこと、こんな顔、壊してくれればいいのに……。
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