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「ウサギって牛乳飲むかな?」
僕は冷蔵庫から牛乳を取り出し、できるだけ小さめの皿に注ぐと、ウサギの前に置いてやった。
バスタオルで作った布団の上で、ウサギは鼻をクンクンさせると、ペロッと一口それを舐め、それから静かに目を閉じた。
見たところ、目立った外傷はないようだ。
毛並みも良く、純白の毛皮には一つの染みも無い。
特に痩せているわけでもなく、普通の健康的なウサギに見える。
何処かから逃げ出して来たのだろうか?
「おい、お前の家はどこなんだ?」
もちろん、答えるわけがない。
仕方がない。一日預かって、明日にでも警察に届けよう。
……いや、待てよ。この場合は保健所が正解か?
いやいや、もしかしたら捜索願が出されているかも知れないし……。
脳内会議で散々議論を繰り広げた結果、やっぱり警察に相談しようということで、ようやく意見がまとまった。
「しばらく大人しくしてるんだよ」
今後の方向性が見えて来たところで、僕はウサギに声を掛けると、バスルームへと向かった。
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