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翌朝。
あまりの眩しさに目を開けると、カーテンの隙間から差し込んだ朝陽が、僕の顔を明るく照らしていた。
どうやら台風は過ぎ去ったらしい。
「ふぁぁ……。おはよう」
大きく伸びをしてから起き上がり、いつものように窓際にあるウサギの寝床に声を掛ける。
……あれ? いない?
突然、ベッドの上の真っ白い綿毛がもぞもぞ動いた。
「おわっ! えっ? ウサギ?」
ウサギが何故か枕元にいる。
ええっとぉ……。 昨夜は……?
「うわぁぁぁぁっっ!」
少しずつ、記憶が蘇る。
僕は、ウサギに、なんて事を……!
「ごめん! 昨日はどうかしてたんだ! お願いだから忘れてくれ!」
ベッドの上に正座をすると、ウサギに向かって頭を下げた。
俗に言う、いわゆる『土下座』というものだ。
そっと視線を上げると、不思議そうに僕を見つめる紅い瞳がそこにあった。
はっ! ウサギ、寝てたじゃん!
これって、墓穴ってやつじゃ……。
「いや、ごめん! 何でもないんだ! 今のも忘れて!」
僕は慌ててベッドから飛び降りると、朝の支度に取り掛かった。
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