新月

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「うわっ! 何?」 突然、冬馬が大声を上げた。 その視線の先には……。 「ウサギ?」 気付いた時にはもう、冬馬はウサギに駆け寄っていた。 どうやらウサギは、ベッドの陰に隠れていたらしい。 あまりの騒がしさに、身を潜めて様子を伺っていたのだろう。 僕は、今の今まで、ウサギの存在を忘れていた。 それ程までに夢中で話し込んでいた自分に驚かされる。 今日の僕は、やっぱりおかしい。 「何? お前、ウサギなんて飼ってんの?」 「いや、これはその……」 「かーわいいなぁ!」 冬馬がウサギを抱き上げた。 「あ! ちょっと!」 一瞬だった。 止める間も無く、冬馬がウサギにキスをした!  しかも、マウストゥマウス! 「冬馬!」 「ん?」 「い、い、今、何を……!」 「何って……? ああ、これか?」 固まる僕の目の前で、再び冬馬がキスをした。 「うわっ!」 「なんだよ。いいだろ、別に。かわいいんだから」 何食わぬ顔で、冬馬はウサギを腕の中に収めた。 いやいや。そういう問題ではない!
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