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十五分後。
シャワーを浴びて部屋に戻り、冷蔵庫を開けた僕は、背後に視線を感じて振り返った。
「うわっ!」
僕は目を疑った。
そこには、目の覚めるような白い肌に、艶めく黒髪をなびかせた若い女性が、透き通るようなアクアマリンの瞳で、僕を見つめて立っていた。
なんで?
どうして?
日本人?
てか、誰?
無言で口だけをパクパクしている僕に向かって、その女性が言った。
「あなたの大切なものを一つください」
青白い月の光に照らされ、彼女は妖しく微笑んだ。
大切な……もの?
僕にはそんなものなんて……。
てか、日本語通じるんだ。
混乱した頭をなんとか整理していると、急に寒気を覚えてぶるっと震えた。
はっ!
僕……!
パンイチ!
「ぬあっ!」
変な声とともに、僕はバスタオルで身体を隠した。
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