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もぞもぞとパンツを履きながら、ふとウサギの方を見た。
「えっ? いない?」
先程までウサギがいた場所には、僕が畳んだバスタオルがあるだけだ。
真ん中が少し窪んでいる。
確かにそこにいた、痕跡……。
「あの、ここにウサギ、いませんでした?」
慌てて彼女に尋ねた。
それよりもっと聞くことあるだろうに……。
ウサギのことより、彼女のことが先だと思うのだか、その時の僕は冷静さを欠いていたんだ。
なんだかいろいろありすぎて、もはやどこからツッコんでいいのかわからない。
「ウサギ?」
彼女は少し首を傾げると、「ああ……」と呟き、おもむろにカーテンを閉めた。
月の光が遮断され、部屋の中は蛍光灯の白けた明かりに照らされた。
その途端、急に彼女の身体がシューッと小さくなった。――実際には音などしないが。
そして……!
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