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59、黒澤突撃の真相は
吉田から手渡された紙には、由真の学校の名前と、住所が書かれていた。
―?!
俺ですら、教えてもらえなかった物を...なぜ...。
目の前でヘラヘラと笑っている吉田を初めて怖いと思った。
由真が引っ越すまでの数日は、毎日、教えろと言っていた。けど、由真は、いつも「だめ」しか言わない。やっと教えてもらったのは、県名だけで、それも、どこの市町村かもわからない。ネットで大体のことは調べれるのかもしれないけど、本人が嫌がるのなら、それ以上は踏み込めない。もし、何かあったとき、すぐに飛んでいけるかもって思ってたのに。
「...この前の制服、あれを受け取るのに、南沢のお兄さんが動いているみてーなの。
で、ここは顔を広げていると、何かと便利だと思った吉田くんは、お兄さんと親しくなり、南沢の情報を入手に成功。
これ、土日の間にしたの、俺、すごくね?
お前の失恋メールを受けながらよ?
俺って、すげー、ダチ思い。
あぁ...。恋人...欲しいっ!」
吉田はそう言って、席を離れていった。
こういうことを、出来る男って、かっこいいって思った。
器のデカさも、俺とは比べ物にならないもんを持っているみたいだし。
あとは、自分で、可能な限り動く。
照れなんて、失うことを考えたら小さいことだと思った。
不器用な君の手を取るために、動く自分が少しだけ好きになれた。
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