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14、ハイ、俺の失言が原因っす。
少しだけ温めのお湯に包まれている俺。
「...ごめんさぁい...」
「...」
そして、じーっと俺を見つめる黒澤先輩...。
はい、俺の発言が先輩を不機嫌にさせました。
ファンの皆さん、すみません。
実は、先輩と俺は、一緒にお風呂に入ることにした。先輩がお風呂の準備をしている間、俺は部活で使った物を洗濯することを引き受けたんだけど、洗濯機の中が余裕あったもんだから、俺は先輩の着ている服まで脱がしてやった。もちろん、俺もだけどな。
でもさぁ、まさか、ここで先輩のお兄さんが来るとはだれも考えてなかったんだよ...。
先輩を全裸にした俺は、自分もホイホイと服を脱ぎながら洗濯機のある場所まで歩いていた。上のシャツを脱ごうとした瞬間に玄関の扉が開く音がし、脱ぎ終えた俺は音のする方向をみた。
まぁ、当然だけど、お兄さん、目を丸くして驚いてた。
スーツ姿のお兄さんと、パンイチの俺、初対面。
えぇっと、
「...はじめまして、こんにちは」
ペコっと頭を下げた俺、ナイス。
「...えっと、君は?」
はいはい、ですよね―。
「あ、先輩...えっと、陸上部で、黒澤先輩の専属マネしている南沢っす」
さすがに、俺の彼氏ですっ!って、答えれねーわな。
「あ、弟がいつも話しているあのミナミって男だったんだぁ...」
?
先輩、お兄さんにも俺の事を話してたんですね、嬉しいっ!
お兄さんは、ん?って、悩んでいることがあるようだ。
「あれ? …でも、あれを頼んだ時、一緒に使うって話をしてたから...ん?」
そして、タイミングよく来る腰だけタオル巻き姿の先輩。
「ミナミ、風呂の用意が...って、兄貴...。」
あ、先輩、その姿も、まじ好き。
「ちょっと、お前っ!なんて恰好っ! 二人とも裸ってっ!」
お兄さん、一人で勝手な妄想に走ってる。
「え、部活の試合で今帰り。 風呂に入る前に洗濯するのに、こいつのも一緒にしようって話になってたんだけど?で、風呂の用意ができたから、これから入るんだけど?」
間違いではない。先輩の頭の良さが、わかった気がした。
だって、勘違いされないように伝えてるもん。
お兄さんはホッとした様子だ。靴を脱ぎかけてたけど、履きなおす様子から、帰るみたい。
「...そうか、わかった。 しっかり戸締りだけはするように」
小声で「ったくっ! 勘違いさせてんじゃねーよ、焦ったじゃねーかっ」って、言ってるよ。
先輩のお兄さんを見送った俺たちは、そのままお風呂場に直行した。
「...ちょっと、焦ったんっすけど...」
「あぁ...俺も。 今日、来るって話なんてなかったはずなんだけどな」
先輩の話だと、結構な確率で、アポなしらしい。
でも、お兄さん、先輩とそっくりだった。スーツを着ているのを見たら、先輩もあんな感じになるのかなぁって思ってしまう。
「...先輩もスーツ着るのかな?」
この一言で、先輩が拗ねた。
俺のバカっ!
でも、喜んでるのは内緒だよ。
この後、めちゃくちゃ先輩に甘えたら、機嫌が直ったよ。
(おまけ)
「...先輩が走る前にする、アレ。
俺は、嫌じゃないっすからね。
だって、先輩にとって、俺が勝利の神様っしょ?!」
「...ミナミ...お前。」
先輩に抱っこされたまま言ったら、じっと見つめられた後、たくさんキスされた。
...うぅぅぅ...。
やっぱり、先輩って、キスがウマー。
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