8、酔っ払いは、また、嵐を呼ぶ

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8、酔っ払いは、また、嵐を呼ぶ

あの後、悔しいから空き箱だけ先輩に持って帰らせてもらって廊下に出て、兄貴の部屋の入口に見えるように積み上げて置いた。 夜、仕事を終えた兄が、「っちょっ!」って、奇声を出してるのを聞けたから反撃終了。俺って、優しい。 そして、嫌がらせをされたというのに、兄貴は酔っぱらうとまた、俺を誘ってエロイ物ばかりを買うのだ。 「由真(ゆま)、お前、エッロいやつ、欲しいかぁ。」 いきなり部屋に入ってきた兄は、酒臭い息で話しかけてきた。 「くっせー、また、飲んで帰ってきたのかよっ、飲み過ぎると身体を壊すぞっ!」 兄は、酔っぱらうと変なモードに突入する傾向にあり、少々迷惑。 「あらー、由真チャンはオニーちゃまが心配ナンでちゅね。」 ...うぜぇ。ちゃん付けに赤子言葉...。 「はいはい、そーですね、心配でちゅね」 適当に返したけど、兄は俺の答えに大満足だった。 「よしっ! じゃぁにーちゃんが何かいい物を買ってやろうっ!」 前科、エログッズ(男用)を買った兄。 当然、俺は警戒した。 兄は鼻歌を交えながら自分のスマホを取り出し画面を見ている。 回避するように俺は傍に行って仕方なく一緒に見ることにした。 「この前のはミスったから今度こそは...」 何度も何度もレビューを見ては止めを繰り返す兄に付き合いきれず俺は、兄の傍で寝落ちし、そのまま朝を迎えたのだった。 「...で、まさかと思うけど、また、ヤバいやつなんじゃないよな?!」 兄が箱を持って俺の部屋に現れた。 見覚えのある箱に、不安ばかりがよぎるのだが。 「大丈夫っ! 今回は、この前の詫びだっ! 友達にも、プレ、OKだっ!」 いちいち、リアクションを取ってくる兄にうざいと思うが、ここはひとつ、折れてやってもいいと思った。 で、早速、先輩に伝えると家に持ってこいって言われた。 先輩と俺は、目の前の箱を見つめて座っていた。 「...先輩、俺があけていいっすか?」 「お前の兄貴の事だ。 何が入っているかわからない。 また、前回のような...」 ―! 「先輩、できたら、先輩にお願いしたいっす」 「うむ」 先輩は、慎重に箱をあけて中身をみて、固まっていた。 「...先輩、どうしたんすか? まさか、また」 くっそー、兄貴め、だましたのかっ! 「いや、お兄さんは実に良い人なのかもしれない。 俺はすごく思う」 ? 先輩が箱の中から取り出したのは、俺でもハードルが高すぎるエロ下着だった。 ―!!! 「うわぁぁぁ、これ、見たことあるっ! 写真ですげーもっこりって」 「おぉ、そうそう。これってすげーって思ってたヤツ。 俺、こんな下着は、勃たねぇ。...お前は?」 「俺もっすよ、何をまた買ってるの、兄貴っ!」 正直、俺の好みでもない。 だが、先輩は、一つの提案をしてきた。 「でもさぁ、このまま怒って突き返しても、ニーサンが喜ぶだけだよな。  ならさぁ、ミナミ。 これ、使ってみねぇ?」 ―?! 「俺は嫌ですよ、先輩」 チッと舌打ちした先輩は、ある取引を持ち掛けてきた。 「...お前が俺に穿いて欲しい下着...俺、持ってるよ」 えっ、それは、スルーできない案件です。 ―!!!! 「マジでっ!? 見たい、見させてっ! で、エロイことを...」 「なら、俺はお前の望んでいる奴を穿こう。 お前は、お前の兄貴に「大好評でした♡」って、返すんだ。だから、お前が着るのが一番だろう」 はいっと渡された下着を見て、俺は、途方に暮れたのだった。
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