9、人は、願望の前では無力っす。

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9、人は、願望の前では無力っす。

「やっぱり、これ、ハズイ。 先輩も萎えるだけだってっ!」 「穿けよ」「嫌です」の押し問答をした後、俺は先輩の手によって着替えさせられた。 もう、この時点で俺は体力消耗。精神的疲労がすごいのだ。 俺が穿いているのは、前だけが隠れる仕様の下着。ただし、胸の辺りを通って後ろに繋がり一体化となっている物だ。実に、実用性に欠ける物だ。 色も、毒々しい黄緑色。既に俺の中では最悪ランキングの頂点だ。俺のわがままで先輩の服を着させてもらってるけど、前を押さえていないと見えそうな気がしておぼつかない。 女子がミニスカート穿くってこういうことなんだな、俺、共感しちゃったよ。 もじもじと内股になる俺。 そんな俺を楽しそうに見ている先輩は、俺の希望を聞いてくれた。 「ほら、お前の好きなやつだろう」 ―! 羽織っていたシャツを開いた中に、俺の夢があった。 「ほわぁぁぁぁ。 本物だっ! そうそう、このラインがいいんすよ。   先輩、ありがとうっ!」 俺は座り込んで先輩の足元で頬を摺り寄せた。 「お前が見たい恰好って?」 ―! え?...いいんすか。 先輩の厚意で俺は理想の格好を目に焼き付けることができるのだった。 「いいっすか? 両手をついて、ネコみたいなポーズになってください。  で、後ろにいる俺の事を見て。 身体を起こして捻るように。」 先輩は、叶えてくれた。 「ふっ...グスン...」 感激のあまり俺は泣いてしまった。 「えぇぇ、こんなんでお前泣くの?!」 先輩はしゃがみ込んで俺の着ていた服の裾で涙を拭きながら笑ってる。 「だって、ずっとずっと思ってたんすよ...。絶対に無理だって思ってたのに...かなったんすよ...嬉しいじゃないっすか…」 ポロポロと涙が落ちるけど嬉しいから止められない。 ―! ぎゅっと先輩に抱きしめられた。 「...はぁ、そんなに喜ぶんだったら、もっと早くにしてたらよかったな。 恥ずかしいけどな。」 鼻をすすりながら俺は 「先輩、恥ずかしいんすか?」 こつんと鼻の頭を指で弾かれ 「当たり前だろう、こんなバカな恰好を見せるんだ。 好きな奴じゃないとみせれねーだろ」 その言葉はすごく大きくて俺は、胸の中がキュンってなった。 「...俺の格好はダメでしょ?」 隠してた服の下を見せようと俺はダボダボの布を指でつまんだ。 少しだけ持ち上げてみたが 「...写真で見た時は、ゴツゴツの男だったよな。」 「うん」 ...。 じっと見つめる先輩。 あっ。 「...中の人間が変わると、エロくなるんだな」 ―! それって、俺を見て興奮しているって...と先輩のセンパイの様子を見た。 先輩の前は、すげー元気だった。 先輩と目が合ってキスをして。 先輩に教えてもらった大人のキスはまだ、慣れることができないけど、始めよりは上手になったかな。 「はぁ...、これ、...前がきつい...」 キスしたらこの先を想像しただけで俺の前も大きくなってた。しかも、いい具合に胸のところに生地が当たって乳首がジンジンする。 もじもじと足を閉じたけど、隠すことができないそこは、服を押し上げている。 恥ずかしい。 「...今日は準備も一緒だったし、ここがトロットロになってるのはわかってるし」 先輩は嬉しそうに俺の後孔にぷにゅっと指を入れたのだ。 ゾクゾクって身体に先走る何かがあって、指の動きに期待する自分。 俺は、この下着に着替える前に先輩によって、とんだ羞恥プレイをさせられてたのだ。 ...準備まで見られた。 先輩が見せろっていうから、足を広げてのそれは、目だけで身体をいじられている感じがして、すごくもどかしかった。 堪えていたが、我慢ができない俺は先輩を誘うことにした。 指で下着を伸ばし、見えるように足を片足だけたて、先輩に向けてうっとりとして見せたのだ。 ごくりと息を飲み込む音。 先輩は、興奮してた。 下着にはシミが出来ていて、先っぽから溢れてくるのを想像したら、俺も興奮した。 やべー。 折角、先輩がエロイの穿いてるのに、俺、余裕がねえ。 「...このまま、入れて? 先輩」 その下着でしたらと思うと、ゾクゾクする。 考えてることが先輩にも分かるみたいで 「ったくっ」って、呆れられてる。 けど、 「先輩、いや? 好き...でしょ?」 ―! かぁっとなった先輩と一瞬だけ目があった。 この余裕のない目がいい。 自分の中に、こんなドロドロとした独占欲があるのだとわかるほど、先輩が好きだと気づくのだ。 2人の荒い息が部屋に消えていく。 勢いのままに、2人だけの快感が解き放った後は、やけに部屋の静けさが耳に残る。 息が整う間は、お互い、目を離したくない。 「...ちょっと暴走しすぎじゃね、先輩...」 2人全裸で、下着はどうでもよくなってた。 ベッドの端に落ちかけた物を見つけて指にひっかけて持ち上げた。 うげ、腕がすでに重たく感じるんですが。 「...こんなにドロドロしちゃって、スケベ。」 まぁ、煽った自覚があるから、自分にも言えるんだけどね。 先輩は、あれだけ動いたのに元気だ。体力バカってこういうのかな? ぐったりと横になって微睡んでいる俺を先輩はいつも優しく癒してくれる。 それがまた、幸せな時間なんだけどね。
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