3、星がでていた

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3、星がでていた

どうしたらよかった? 告白なんて聞かないでって正直に言えばよかった? 幼馴染なんかより俺を見てって言えばよかった? でも、もう遅い。 今からでも先輩を追いかけて、話を聞いてもらったら間に合うだろうか。 それとも、怒って誰かと付き合うなんてしたら...。 嫌だ。 胸の中が押しつぶされたような痛みで涙が溢れた。 おいかけなくちゃ...追いかけて話を...。 俺は、涙を流しながら先輩の後を追いかけて走り出した。 あたりは暗くなり、街灯がぼんやりと道を照らすけど、先輩の姿はどの方角にも見当たらない。 まるで、もう、お前のところに気持ちなんてないんだって言われているようだった。 スマホで電話をかけようとしたけど、なんて言葉をかけたらいいのかわからず、途方に暮れてしまった。おまけに指まで震えてんの。 気持ちが高まっていて家に帰る気分じゃないと俺は、さっきまでいた公園に戻った。 先輩が座ってた場所に腰を落とし、ぼーっと夜の空をみた。 先輩...俺、好きっていったのに...。 「...俺が弱いから...先輩の気持ちが嬉しくて。...でも、それが大切だから、傷つけたら怖くって。 もっと強くなれたら...もっと、自分に自信が持てたら...こんなことにはならなかったの...かな...。」 空を見ても答えなんてどこにもない。だけど、この複雑な気持ちを少しでも空が吸い込んでくれるならと俺はじっと見つめていた。 「...俺だけを見てって、言えばよかったのかな...。でも、それっておこがましいというか...贅沢。 …でも、いやだなぁ...。 先輩が誰かに優しくするのも、エロイ時、余裕のない先輩を誰かに見られるなんて「お前、本当にバカだな、ミナミ」」 ―!!!! すぐそばで先輩の声が聞こえ、飛び上がるぐらい驚いた。 「せ、せんぱいっ! えぇぇぇ、いつの間に...っ!って、か、...ま、またっ。  俺、口に出てたっす?」 「でてたっす」 先輩は答えた後、俺の傍に近寄って抱きしめてくれた。 「...一人で、空見ながら泣くんじゃねーよ。 青春か。」 「...泣いてなんて...。いいですよ、青春ですもん。 俺は、先輩の事だけを考えてるのが青春なんですっ!」 ―! はたと、自分の発言に気付いた俺は、視線を反らしまくった。 「おい、なんで、目を合わせない。 お前は、俺のことが好きなんだろ」 先輩の自信ありげな発言にカチンと来た。 「好きですよ、えぇ、好きですとも。 好きすぎてすぐにエロイことばっかり考えるお馬鹿さんですよっ! 誰にも告白なんてさせたくないし、ラブレターなんて見つけたら、そっこー燃やしますっ!ぐっちゃぐちゃに踏んずけて、ぐへへって笑ってやるんですからっ! あんたの前にいるヤツなんて、本当は眼中から排除したいぐらいにねっ!けッ」 ヤケクソな俺の反論に 「こわっ!...でも、それって、独占欲ってことだろ?」 先輩は改めて聞いていた。ムカついた。 「えぇ、そうですよ、独占欲ってやつですよっ! 先輩のエロイことはどんなことでも俺が叶えるって思ってるし、先輩がエロイ下着を着てくれるのを密かに待っているっていうのも、俺は待ってます、密かにねっ!」 結果、先輩は、俺の本音を聞き出せて、とても満足してた。 「お前、変な具合に曲がってんな。 部の人間、かなりがっかりするぞ。」 黒澤先輩は意地悪だ。 部の人間なんて、どうでもいいってわかってる癖に俺にワザと「いいんですよ、先輩だけですっ」って言葉を言わそうとしている。 俺は、気付いた。 あえて、そこはスルーをするべきっしょ。 それに、真っ暗の公園で高校生がくっついてるのってぜってーおかしい。 しかも、なぜか俺は、先輩に膝枕をされている。 ...なんで? 「...なんで、ここで膝枕なんすか?おかしいっしょっ!」 じたばたとする俺を先輩は楽しんでいるようだ。 「いいの、俺がこうしたいの、お前の事。 お前、ちょっと、嬉しいって思ってるだろ、俺、さっきのでお前の考えること、大体わかったわ。」 ―! ば、バレてるー。 俺の希望としては、このまま、先輩が俺にキスとかしてくれたら嬉しいけど、それって、かなりハードルが高い。 だって、ここ、どんなに視点を変えても、公園。外。屋外。 そ、そんなハレンチなことはできませんよ。...してほしいけどね。 でも、それはどうでもいい。 「...先輩の足って、ゴツゴツしてるっすね。枕としてはランクが下です」 「うるせー、黙っとけ。 お前はわかってない、感触じゃないんだよ、枕はな。」 え、じゃー何なの? 公園で先輩と目的もなく空を2人で見あげる。 さっきまでとは違い、俺の上には星がたくさん見える。 「...星がでてるんですねぇ」 ―! ぽけーっと空を見ていたら、真っ暗がより真っ暗になり、頬に何か柔らかいモノがあった。 「...。」 「...。」 「...ほっぺたは、ナシっしょ。」 「いや、体勢的にそれが限界で...」 「我慢しましょーよ。」 「...。」 「?」 「できなかったから、したんだろ、バカ。」 やべー。先輩がすげー、可愛い。 バカな話をしてるけど、ずっと手は繋いだままだった。
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