十五日目

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十五日目

   *  あの日から蛇は姿を現すことなく、私は順調に毎日参拝をこなしていった。  土の上を裸足で歩くなんて信じられないと思っていたが、慣れてしまえばひやひやとして気持ちがいい。  仕事疲れで火照った身体に夜風が染みるように心地よかった。心なしかふくらはぎも引き締まったような気がする。  参道を登り切り、賽銭箱に百円玉を置いた。 (お賽銭、けっこうたまったなぁ。初めて来たときはゼロだったのに)  なんとなく硬貨の数を数えてみると、十六枚あった。 (あれ? 一枚多い?)  今日はまだ十五参拝目のはずだった。 (…まさか数をごまかされた? 私が、参拝数を間違えるようにと――) 「気づいたか」  足元を見ると、蛇がいた。 「わしが安穏と縁切りを待つと思っているのか。せっかくの(つがい)をみすみす逃すわけはないだろう」  蛇は目を細め――邪魔をしてくれるぞ、と意地悪く呟いた。
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