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「染みができたのがそんなに驚くべきことか? 人の身であるならば当たり前のことではないか」
苔むした石の上で蛇が長く伸びながら言った。私は参道入り口の鳥居の前で蛇を見つけるやいなや、思わず半泣き状態で愚痴をこぼし始めたのだった。
「私にとっては当たり前じゃないわ! 今までケアなんてしなくてもこんなことなかったのに……。毎夜こんな坂道を歩かされてるせいで、疲れで肌の調子までおかしくなってくるのよ!」
私は蛇に八つ当たりした。蛇にとっては理不尽この上ないだろうが――このやり場のない憤りをどこに持ってゆけばいいというのか。
「まあお前の言うこともあながち間違いではない。今まで何もせずとも若く美しくおられたのは、わしの加護があったからだ。一参拝ごとにわしとの繋がりが弱くなれば、そのぶん加護も弱くなる。つまり一日ごとに年相応の見た目になってゆくということだ」
何ですって――思わず息を飲む。
「…ふざけないでよ。そんな条件聞いてないわよ!」
「聞かれてないからな」
蛇は飄々と答える。
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